偽りのシステム125


「な、何事です!?」

 予期せぬ断末魔にエスタロッサが飛翔を止めぬまま怪訝な雄たけびを上げる。

「に、二番隊より報告します!! 隊長が……エリエル軍曹がやられました!!」

「えっ!? エリエル軍曹がやられた!? それはどういうことです!?」

「はい、それがいきなりのことで分からないのですが、飛翔中、隊長が謎の襲撃に遭い、頭部を何かに撃ち抜かれ……」

 答えたのは、二番隊の副官であるエイシャワー上等兵である。

「飛翔を止めてはいけません、エイシャワー上等兵!! そしてロック二等兵もです!!」

 エスタロッサは、二番隊の位置情報を確認しながら喚起しつつ、

「頭を撃ち抜かれたとはどういうことなのです、上等兵? ここはヴェルデムンドアーチの入り口なのですよ? 人間が容易に入り込めぬ凶獣の魔窟なのですよ? もし、エリエル軍曹が何かにやられたのだとしても、それは凶獣の類いではないのですか!?」

「お、お言葉なのですが、中尉殿。不詳このエイシャワーには、しっかりそう見えています。この暗がりの中ではありますが、わたくしの暗視センサーに狂いは誤差いません! きちんと生きています! 隊長殿は、何か弾丸のようなものに頭を撃ち抜かれたのです!! それは凶獣のような生きたものではなく、何者かが放った武器の類いもの……人工物であります」

「こんな場所で、武器のような人工物?」

「は、はい……。たった今、映像データの解析が終わりました。吶喊ではありますがデータを送ります」

 言われて、エスタロッサの脳裏に、先ほど起こった出来事の解析映像が一瞬にして転送されてくる。

 そしてその解析映像を見るや、

「ま、まさか、これは……!?」

 エスタロッサは度肝を抜かれ、言葉を失った。

 

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