偽りのシステム92
言われて、エスタロッサはうなづいた。
「はい、大佐殿。わたしはそう現実を受け止めております」
エリケンは、鼻で笑い、
「了解した。つまり、俺たちは、兎にも角にも先に進まねえといけねってことだな。分かったよ、ならば前進あるのみだ」
彼は、その場からすっくと起き上がった。
「よし、これより我が大隊は、予定通り、目標の前後方向の二手に分かれ作戦を開始とする。この地は、かつて反ヴェルデムンド新政府に反旗を翻した組織〝黄金の円月輪〟の居城ともなった場所だ。それゆえ、この地の実態はつかめておらん。各陣はそれを心して作戦に当たるように!」
エリケンの号令が、各中隊、小隊の隊員の補助脳に直接響き渡る。
各中隊に配備された高速機動艇は、即座にボバーの出力を上げ、作戦行動機動速度に達する。
第十八特殊任務大隊の構成は、エリケン大佐が指揮を執る旗艦をはじめとして、第一中隊から第十五中隊からなる。そして、その各中隊には、それぞれに役目があり、斥候を得意とした第五中隊があれば、フェイズウォーカーでの遊撃を得意とした第七中隊がある。
また、後方からの支援攻撃や、長距離狙撃を得意とする第十五中隊があれば、各隊員が身体を晒して白兵戦を得意とする第八中隊などもある。
彼らは皆、あの先の戦乱の生き残りであった。彼らは特殊任務に当たるばかりではなく、絶対不可侵とされる〝悪魔の巣〟と称された肉食系植物の根城にすら特攻をかけ、そしてその確実な突破力で山岳地帯を通り抜け、奇襲を掛けることで〝反新政府軍〟の精鋭たちを恐怖のどん底に貶めたのだ。
無論、その相手には、あの〝ヴェルデムンドの背骨折り〟の名で知られる羽間正太郎らの部隊もあった。
「この地には、あの男が潜伏しているという情報がある。シュンマッハの狙いは間違いなくそれだ。だから俺たちは、こんな
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