偽りのシステム71
「もう、アイシャさんたら可愛い人よね。ねえ、聞いてよ、ショウタロウ・ハザマ。アイシャさんたらね、さっきからあなたとの赤ちゃんが沢山欲しかったって、ずうっと言いっぱなしなのよ」
確かにアイシャ・アルサンダールの最後の言葉は、願わくばあなたとの子供を産みたかった、である。
「な、なあ、エナ。そうやってお前ばっかり話してねえで、この俺とも話させてくれねえか!?」
さらに正太郎は彼女に詰め寄る。だが、
「それはお生憎様ね」
「で、出来ねえってのか!?」
「そうね、そういうこと。確かにアイシャさんもあたしと同じ、肉体が滅んで仮想世界に生きる身となったのは同じ。……けれど、
「媒体だと?」
「うん。あたしは元々、脳の部分だけ補助脳を付与した〝ミックス〟だったから、こうしてこの三次元ネットワーク上の電脳世界に情報として生き続けることが出来る。だけどアイシャさんは、あなたと同じネイチャーという立場だったから、同じ土俵には立てない。そして、あの〝ペンダントトップ〟の中の世界は、あの世界でしかないということ。今、あたしと会話できるのは、あなたと一緒にカプセルの中で液体付けになっているからなのよ。そう、それで辛うじて意思疎通が出来るようになったというわけ」
言われて正太郎は首をひねりながら、
「じゃ、じゃあよ。このシステムを使えば、俺が自分の肉体に戻っても疎通は出来るかもしれねえんだな?」
「そ、それは、今断定できる話じゃない。でも、それもあるかもしれないわね。ん……!? いえ、そうじゃないわ!!」
「ど、どうした、エナ!?」
「ああ、やっぱりそうか!! そうね、そうだわ!! うん、ショウタロウ・ハザマ。あなたってやっぱり天才よ!! そ、そうか、そういうことだったんだわ!!」
「何だよエナ。お前、何一人で納得してんだよ!!」
「ご、ゴメンね、ショウタロウ・ハザマ。でも、解かっちゃったのよ。あの〝
「何だって!?」
※※※
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