偽りのシステム63



「な、何ぃ!? この場所の危機だと!? い、一体誰が……!?」

「論より証拠よ。これを見て」

 エナは、再び宙に向かって左手をかざし、自らの脳裏に送られて来た映像を投影させた。

「こ、これは……!?」

 そこに現れた映像は、まさに一個大隊が進軍して来るものである。その一個大隊とは、自らの恐怖を払拭しようとしてシュンマッハが送って来たペルゼデール軍第十八特殊任務大隊のことである。

 ペルゼデール軍に属する第十八特殊任務大隊とは、調査任務もさることながら、特定の人物の暗殺や破壊工作、さらには特定のエリアに隊員を派遣し、情報工作まで行ってしまうという特殊任務集団のことである。

「間違いねえ。あれは第十八特殊任務大隊……。人呼んで〝十八番おはこ〟って符丁で呼ばれてた特殊技能集団だ。あんなのをよこすってこたあ、これは……」

 さすがの正太郎でも、驚きと焦りで顔色が変わった。

「そ、そんなに凄いの? その〝十八番おはこ〟の大隊って?」

「そうか、エナ。いくらお前でもあの連中のことを知らねえんだな」

「うん。あの軍に第十八大隊までが備わっていることぐらいは調べられるんだけど……」

「なるへそ。しかし、お前があの連中の中身を知らねえのも無理はねえ。なにせあの連中と来たら、一般的にはの設定がデータベース上に登録されているんだからな」

「何ですって、そんなことが!? それじゃあ、いくらあたしがペルゼデール軍のメインコンピューターをハッキングしたからって……」

「そういうこと。あいつらは、軍が公式に発表している編成大隊と何も変わらねえってことだ。奴らは普段からそういう素振りで振る舞っている。だがよ、中身はそんな生易しいもんじゃねえ。あいつらは、通常のドンパチの戦いからあらゆる困難な特殊任務まで平然とやってのけられる怪物集団モンスタースキルなんだ」


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