偽りのシステム64


怪物集団モンスタースキル……」

「そうだ。奴らは全員が〝ミックス〟だ。それも、体の半分以上を機械に変えちまった通称〝カオスミックス〟と呼ばれる化け物たちなんだ」

 エナは、正太郎が言葉を終えるや否や顔面を蒼白にさせた。

 彼女が顔色を変えた理由は一つ――

「どういうこと!? 身体の半分以上を機械に変えてしまっているですって!? そんなことをしたら、もうそれは人間とは呼べないじゃない!!」

 というわけである。

「だから言ったろ? 奴らは化け物なんだって」

 正太郎は眉間にしわを寄せながら平然と答えた。

「だ、だって、だってさ、ショウタロウ・ハザマ! いくら何だってそれはあり得ないわよ! 百歩譲って現シュンマッハ政権のペルゼデール・ネイションならそれもあり得る話だわ。だけど、以前の女王マリダ政権のペルゼデール・ネイションにしたって、その前のヴェルデムンド新政府にしたって、肉体の改造は多くても四割以下に留めておく規定が成されていたはずだわ! それなのに、一個大隊の全ての人が身体の半分以上を機械に変えてしまっているだなんて……!!」

「まあ、それが戦争ってもんだぜ、エナ。お前も戦略家の端くれなら分かるだろ? 人が生きるか死ぬか、国がやるかやられるかって時には、やっぱり戦略としてそういうのが必要な場合ってのはある。そうやって密かに生み出されちまった集団てのが奴らさ」

「で、でも!!」

「悪いな、エナ。これが事実でこれが現実だ。この俺も、あの戦乱の真っただ中で生きて来た一人なんでね。そういうのがあるってことぐれえは、この目で見て来て重々承知している。それが良いとか悪いとかは別にしてな。俺たち人間は、いざとなったらそういうのを平然とやっちまう時がある。それが戦争だ」

「だからって……」

「そう、だから奴らは公式には通常の大隊と変わらねえ登録になってるんだ。それが平時の際の建前というやつだ」

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