浮遊戦艦の中で346
リゲルデの完敗だった。
鳴子沢大膳は、至って全くの無傷。そればかりか、一度も手出しなどしていない。
「リゲルデ殿。これが我ら真・ペルゼデールネイションの力なのです。これからの戦争……いや、戦いは、物理的な力による支配ではない。だからと言って、恐怖にかこつけた支配でもない。人間が人間たるために、人々が人々として生きて行くために必要な物を与える究極の統率なのだ。それが真・ペルゼデールネイションの力であり狙いなのだ」
「し、真……ペルゼデールネイションの力……!?」
リゲルデは、おぼろげなる意識の狭間にその名を聞いた。
「そう、我らは真・ペルゼデールネイション。つまり、私はこれらの五次元人と名乗る虹色の人類と共に、我々の理想とする国家……いや、世界を構築する」
虹色の人類たちが囲む中心にいるのは、何を隠そう、その言葉を言い切った鳴子沢大膳である。
「私は、もう表に出ることを
言って大膳は、その奥で不毛に生命維持装置の争奪戦に勤しむ連中に憐憫の眼差しをくれた。
「彼らは、かつて様々な次元世界で君臨した人類の一部……いや、成れの果てとでも言うべきか。しかし、そんな成れの果てでも特に優秀な逸材を選りすぐんでここに眠らされていたのだ」
「な、何の為に……?」
言われて大膳ははにかみ、一度間をおいて、
「フフッ、それが我々第六世代の人類に必要不可欠な存在だからですよ」
「必要不可欠だと? それに、第六世代の人類とは何だ?」
「ええ、第六世代の人類とは、無論我々のことです。もともと、我々の住んでいた地球と呼ばれる世界で君臨した第六番目の生命体のことを言います」
「だ、第六世代の人類……」
「そうです。その第六世代の人類に、彼らの存在は必要不可欠なのです」
「なぜ? どうして? なにゆえに、あ奴らのような化け物染みた連中が不可欠なのだ?」
「決まっているでしょう? 我々第六世代の人類に刺激を与えるためです」
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