浮遊戦艦の中で313
リゲルデは息を飲んだ。この先に待ち受ける光景に興味津々だった。
「さあ、この壁の向こうです」
ジェリーは、閉ざされた何とも表現しようのない物質に阻まれた壁を指差し、リゲルデを先へと促した。
「ここを、か?」
「ええ、ここです」
「しかし、ここは行き止まりだ。いくら何でも、こんな壁の中を……」
「それは今までと同じことです。難しく考えることはありません。わたしたちの見えている感覚と、実際にあるものが違うだけです」
「つまり、この壁が未知の素材だとか、そう言った物ではないと言うのだな?」
「その通りです、ミスターワイズマン。確かにこれだけ動いて汗を一つも搔かなかったり疲れなかったりと未知の部分もありますが、それはそれ、これはこれ。わたしが最初にここを出られた時も非常に驚きましたが、色々と
リゲルデは呆気にとられた。まだコールドスリープのような装置から目覚めて間もない男が、このように簡単に状況を把握してしまう。敵に回すとなれば非常に厄介な存在となる。
「うむ、相分かった。貴様の言う通り先に進もう。ここまで来て、元に戻るという選択肢など毛頭ないのだからな」
ジェリーに促されて、リゲルデは
「なんと……」
体が吸い込まれるように前向きにのめり込んだ。
しかし、視界に映るものはすべて闇。それは至極当然のようであり、また不可思議極まりないものである。
「理屈では分かっていても、これは何とも……」
「ええ、それはわたしも同感です。しばらくこれが続きます。ここは手持ちのライトでも明かりが見えないので、足元には十分お気を付けください」
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