浮遊戦艦の中で205



 その時、ケネリン准将のみならず、この会議室に会した一同が一斉にどよめく。

「じ、人工知能の予測が進化の速さに追い付いていないだと!? そ、そんなまさか……。この世界の生き物ごときが……」

「いえ、そうではありません」

 言われて剣崎は真っ向から否定した。「この世界の生き物だけが進化したのではありません。この世界に移住してきた我々人類も進化の一途を辿っているのです」

「な、何ッ……!? 我々人類までもが進化しているだと!?」

 さざ波のようなどよめきが、怒涛のどよめきになって沸き返る。

「ええそうなのです。元より我々の知る人工知能群は、まだまだ人類の叡智にまで到達してはいない。しかし、であるものの、その演算能力に人類が追いつけるものではありません。そういった互いの矛盾を抱えながらも、我々人類と人工知能は補い合いながら今日までやって来たのです」

 剣崎は、その熊のように太い腕を討ち振るう。

「そんな互いを支え合うようにして来た人工知能にも、予測不可能な事態がこの時点で起きていると言って良いでしょう。そう、今までに無い比類なき生物の進化。それがたった今起きているということなのです!!」

 一同は押し黙ってしまった。余りにも予想外な剣崎の言動に度肝を抜かれたのだ。

「しかしだな、剣崎君……いや、剣崎大佐。もし、君の言うことが本当だとしたならば、それが一体何を意味するというのだね?」

 ケネリン准将が険しい表情で問い質して来る。

「ええ、良い質問ですな、准将。ここからは、私の戦略家としての憶測でものを申し上げますがよろしいでしょうか?」

「良いとも……。言ってみたまえ」

「はあ……では申し上げます。私の戦略家として、これまでの事実的な経緯と憶測などを統合して答えを導き出した結果……クーデターの首謀者たるシュンマッハは、肉食系植物の意思に操られております」

「な、なんだと!?」


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