浮遊戦艦の中で157


 リゲルデの心中は、そういった疑念と共に次第に憎しみの感情がふつふつと湧き込み上がって来た。

「許さん、許さんぞ元女王め……。この俺に忠誠を誓い、そしてこの俺に対して〝愛〟を捧ぐとまで言ってくれたアマンダ。そんな女を、こうも無下に葬り去るなどと……。許さん、絶対に貴様を許さんぞ……」

 リゲルデは、ここで女王討伐と言う命令を、心底遂行しなくてはならないと切に感じた。

 言われてやるのではない。自分がせねばならぬと復讐の炎が燃え立ったのだ。

「元女王よ、今に見ておれ。この俺から掛け替えのないモノを奪い去った恨みを思い知らしてやる……。絶対に貴様をズタズタに引き裂いてぶち壊してみせる!!」



 戦禍は未だ燃え広がりを見せ、闇夜にむせぶ大森林の中を白夜に変えてしまおうとする勢いがある。

 現在の状況と言えば、女王討伐隊の第二波として進撃して来た主力の後発組と討伐隊を挟撃しようとする親衛隊二番隊と三番隊とがぶつかり合い、激しい戦いを交え始めたところである。

 しかしながら、優秀な指揮官であり、かつ剣の達人としても名高い親衛隊長サガウルを失った事実は大きい。

 エリート機動部隊であるマリダ軍は、士気は低くとも数に勝る女王討伐隊のの抵抗にあえぐばかりで消耗を余儀なくされている。

「なんということでしょう。わたくしの不手際がサガウル殿の命を奪い、そして今も尚、親衛隊の方々の命をも奪い去ってしまっている……」

 マリダは、シャルロッテとの交戦により自らの機体を失っしまった。そのために、この重要な局面でありながらも十分な援護を出来ないでいる。

「全てわたくしの計算が甘かったのです。許してください皆さま……。ああ、こんな時に正太郎様がわたくしの傍に付いておられたなら……」

 


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