浮遊戦艦の中で143
リゲルデの恨めしげな雄叫びが森一帯に響いた時、ヘルマンズ・ワイスⅤ型の後方にあるハッチから一つの影がせり出して来る。最新鋭機〝シグマ・ウェルデ〟である。
「シャルロッテ中尉、これがお前の予測した通りの結果だ! お前のお陰で元女王は我らの手の中にある。よって、ここに見事元女王を討ち果たして見せるのだ!!」
リゲルデの圧倒的な興奮とともに、シャルロッテ中尉の搭乗するシグマ・ウェルデの超振動式大剣〝シグマブレード〟の切っ先が、マリダ機のコックピットを捉える。
シャルロッテはシグマブレードを無双の位置に構えた。一思いにクイーンオウルⅡ型改のコックピットを突き刺す算段である。
だが、
「どうした、シャルロッテ中尉!? どうして一思いに討たぬ!? 今ここでその切っ先を突き刺せば、我らの目的は一気に果たせるのだ!! さあ、どうしたのだ、その刃を思いのたけ打ち込むのだ!!」
シャルロッテは、その刃を突き上げようとはしない。
「何を怖気づいているのだ、アマンダ!? アンドロイドであるお前の使命は、この俺への貢献であると先ほども言ったはずだ!!」
リゲルデの強制的な声が大森林を駆け抜ける。
「で、ですが中佐……。私は元来、人類貢献のために生まれ出てきたアンドロイドであり、
「何をたわけたことを!! 今さらそのような禅問答をここで交わしている場合か!? お前はこの俺に忠実であれば良い! 一生この俺の為だけに、な!!」
「……分かりました、中佐。私は、あなたの為に戦います。どこまでも愛おしい私のリゲルデ様のため……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます