浮遊戦艦の中で102


 シュンマッハ少将がペルゼデール・ネイションを取り仕切るとすぐに、女王マリダ討伐隊が編成された。

 今現在の政治的な意味で、先の頭首であるマリダ・ミル・クラルインを討伐することに何ら意味などない。

 だが、果てしなく顕示欲が強く、何事においても人を陥れたいという厄介な性癖があるシュンマッハにとっては、誰の目から見ても優秀なアンドロイドの彼女がこの世に存在しているというだけで居ても立っても居られないのである。

「ええい、リゲルデ中佐!! あの忌々しい機械人形の消息はまだ掴めんのか!? もうすぐ〝緑の七日祭〟が迫っておるのだぞ!? その日がやって来てしまえば、この大地は否応なくたっぷりと湿気を含んだ大雪と、人の目玉の大きさにも匹敵するほどの大粒の氷の塊に覆わてしまうのだ。そうなれば、奴らはそれを当然のように隠れ蓑にすることだろう! せっかくあの核爆発によって禿げ散らかされた大地なのだ。この機を逃せば、奴らに反撃の余地を与えてしまい兼ねん。さあ、なにをグズグズしておる!? 無い頭でグダグダ考えておる暇などないはずだ! 分かったら、さっさとあ奴らをこの世から葬り去りに出立するのだ!!

「い、今からでございますか? 総統閣下……!?」

「当たり前だ!! リゲルデ。貴様は、このわたしにその戦略家としての価値を見い出されてここまでやって来れたのではないのか? ということは、その存在意義ったる所以ゆえんを、恩人であるこのわたしに示さないでどうする? さあ、貴様の貴様たる存在意義をここで示せ!! でなければ、貴様に帰る場所などどこにもない!!」

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