浮遊戦艦の中で⑰
「な、何だお前!? どういうこった!?」
正太郎が慌てて
「どういう……こったも……そういう……こったも……ないわ……。あたしよ、あたし……。あたしは、エナ・リックバルトよ! ショウタロウ・ハザマ!!」
少女がそう言った途端、身体の透けていた部分が次第に実体化し、さらに声の輪郭までがはっきりして来る。
「エ、エナ……り? エナリって何だ!?」
「え……えなりじゃないわよ! あたしはエナよ! エナ・リックバルトよう!! 誰があんな坊主頭の!!」
「坊主頭って何だ!? 一体何のこった!?」
「な、何でもないわよ!? それより、ショウタロウ・ハザマ、あたしを忘れちゃったの!?」
「忘れちゃったも何もねえよ!! 俺ァ、お化けの類いに知り合いなんか居ねえよ!」
「し、失礼しちゃうわね! あたしはお化けなんかじゃないわよ! れっきとした人間……」
言うや、金髪の少女は途端に首をひねり、眉間にしわを寄せる。
すると、
「人間だと?」
正太郎が再び問い質すが、
「い、いえ……。あたしはもう人間じゃなかったわね。それでもあたし、元は人間だったのよう!!」
言われて正太郎は腕組みをし、彼女の隅から隅まで見渡そうとする。
「バ、バカァ!! もう、ショウタロウ・ハザマのど変態!! 清らかなレディの身体を嘗め回すように見るなんて最低よ!!」
なんと、少女はいきなり目くじらを立てて、彼のボディに蹴りの一撃を入れた。
「グホッ……!!」
正太郎は突然のことに全く対処出来ず、くの字になって廊下の壁に突き飛ばされてしまった。
「もう、女の人に手の早い所だけは変わらないんだから。まあ、どうせあたしなんかには手出しはしないんでしょうけど……」
「な、何を言っているお前……? クッ……腹への衝撃が強烈過ぎて、足に力が入らねえ……」
正太郎は、壁に手をついてよろよろと立ち上がろうとする。
「もう。そんなことより、早くここから目覚めてよ、ショウタロウ・ハザマぁ。あたしがどんなにあなたを探すのに苦労したか、分かってるの?」
「探した……だと?」
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