フォール・アシッド・オー㉙
とは言え、そのような悠長なことを言っていられる場合ではない。
デュバラはすぐさま飛び起きると、小紋に向けて渋々
「了解したよ、デュバラさん!! ここからは、僕とデュバラさんの二段構えだよ!」
小紋は言うや、その小さな身体を最大限に利用し、リズミカルに右へ左へと跳ね飛んで見せる。
(むう、先ずは攪乱戦法というわけか! しかし危険だ! 小紋殿自らが
だが、彼女はそんなデュバラの
「へへっ、やってくれるじゃねえか、ちっこい嬢ちゃんよ。でも、そうじゃなくちゃ何もかもが面白くねえぜ!!」
表情こそ見えないが、二分の一のサムライの仮面の奥からは
「行くよ、黒い人!!」
「応!! 来てみろ、このちっこい女!!」
言いつつ、二分の一のサムライは小紋の動きに反し、身体を微塵の動きもなくピタリと止めた。まさにその動きは、手ぐすね引いて獲物を待つ食虫植物さながらである。とりもなおさず、その静と動の対比は、どす黒い毒花の周囲を徘徊する可憐な一頭の紋白蝶の如し。
小紋は華麗なステップを踏みながら、両腕に
(僕の非力な身体では、到底この黒い人には勝てない。でも、こうやって細かい攻撃を積み重ねて相手を消耗させられれば……!!)
言葉を切るや、小紋は二分の一のサムライの腕、肩、腰、後頭部と連続で攻撃を仕掛けた。軽やかなステップを踏みながら電磁式トンファーの先を素早く叩きつけ、そしてすぐさま間合いを開けて戻り切る。そういった波状の連速的な打撃は、致命傷とはいかなくとも相手方へのフラストレーションの蓄積へと
「さあ、黒い人!! これからが本番だよ!! 僕が戦いを挑んだからには、誰も傷付けたりなんかさせない!!」
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