神々の旗印128


 正太郎は、ふんどしの紐を締め直すがごとく背筋をピンと伸ばした。

「なあ烈よ。奴らはその昔、自分たちの意思とは別に自然の成り行きで死んでいったんだ。そりゃあ、考えてみれば不憫な死に方だったろうよ。どんなに絶望の奥底に居たって、夢や希望ってのは何かしら持っていたはずだからな。そんな連中が時代の流れによって居場所を無くし、挙げ句自然の成り行きで〝お迎え〟に来られたとあっちゃあ、こりゃあどうあがいても堪らねえって話だ」

「うん、その兄貴の話、何となく機械のオイラでも理解出来るよ」

「てえことはよ。奴らは奴らなりに気持ちのってのをつけてえわけだ」

「そうか! 兄貴はあの人たちの、そのに選ばれたってわけだね?」

「ああ、そう言うことだ。この世に神なんて御大層な存在があってもなくても、奴らにとっちゃあどうでもいいことなんだ。触れることの出来ねえ存在よりも、そこにある現実に立ち向かう方が百倍も二百倍も賢い選択だからな!」

「そうなんだね。兄貴は、あの人たちのやるせない気持ちの捌け口になるつもりなんだね!?」

「そうだ。だから烈よ、ここはお前に協力してもらわなくちゃならねえ! どんなに綺麗ごとを並べても、この世の中は弱肉強食だってことを教えてやる為にな!! それが強者として生まれ出て来た俺たちの役目なんだ!!」

「そうだね、兄貴!!」

「そして証明してやるんだ! 俺たちは生まれ持っての強者なんかじゃねえってことをな!! 生き残る意思があったからこそ強者として成長してきたんだということをな!!」

「アイアイサーだよ、兄貴!! オイラは、とことん兄貴に付いて行く!! そしてオイラも世界一強い人工知能を目指すよ!!」


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