神々の旗印103

 正太郎は烈太郎に言われ、慌ててモニターを確認するや、

「くっ……、流石のアイツらでも限界突破されちまったか!!」

 もう既に、早雲が搭乗しているクイーンオウルⅡ型のもう片方の足が、羽根の生えたチャクラマカーンのくちばしにムシャムシャとついばまれていたのだ。

「す、すまねえでゲス、背骨折り! あっしらも頑張ったんだが、こんな無茶苦茶な攻撃じゃあ……!!」

「背骨折りさん!! オラの機体も兄ちゃんの機体も限界だすです!! 近接武器はまだ使えるだすですが、ソニックブームキャノンの弾の残りが危ういだすです!!」

「しょ、少佐!! わたしはどうなっても構いません!! ここは少佐だけでもお逃げになってください!!」

 三人は、無線のモニターに顔を出すや否や、代わる代わる切羽詰まった表情で詰め寄って来る。

「そうでゲス、背骨折り! 早雲ちゃんの言う通りでゲス! あっしらの機体はもうダメだ! ここは背骨折りだけでも……」

「そうだすです! 背骨折りさん! あんただけでも、ここから脱出するだすです!!」

「少佐はこの先、人類の為になくてはならない方なのです! だからこの場は少佐だけでも……!!」

 言われるや、

「はあ? テメエら何勝手な事抜かしてやがんでえ!! ここは俺がリーダーだ!! テメエらに俺をどうのこうの指図する決定権などどこにもねえ!! いいか? テメエらはここを何とかして生きるんだ!! 生きて生きて生き残るんだ!! つべこべ文句も反論も受け付けねえぞ!! これは俺からの絶対的命令だからな! テメエらは俺と絶対に生き残って、この先にある物をその目でしかと見るんだ!! いいか、分かったな!!」

 正太郎は三人を腹の底から怒鳴りつけるのであった。三人は目を丸くして反応した。半ばあきらめかけていた焦りの表情がそこで一変する。

「いいかテメエら!! 俺の作戦は、この小隊あって完結するんだ。そこんところ勘違いすんなよ! ここは誰が欠けてもいけねえんだ。俺たちの相手をよく見ろ! こうやって今までにねえギミックで仕掛けて来るってえことは相手もかなり必死なんだ。てえことはよ、こっちもつらけりゃ相手もつれえって証拠なんだよ! いいか? いちいちこんな事でひるむんじゃねえ! ここでひるむようじゃあ相手の思う壺だぜ!!」

 正太郎は当代きっての戦士であるが、根っからの戦略家でもある。彼が相手の心を折らせるならば、必ずこのような先制パンチを食らわすだろうと読んでいた。

「いいかテメエら、俺の話をよく聞け!! これは敵方のハッタリだ。このとんでもねえ攻撃自体は事実だが、テメエらはこの攻撃を受けて、この後にそれ以上に物凄え何らかの攻撃があるんじゃねえかと思わされているんだ! だがな、もし俺がこの攻撃を仕掛けた戦略家なら、間違いなくこういったハッタリをかまして先ずは相手の心を折ろうとする」

「ということは背骨折り。ここを乗り切れば何とかなるということでゲスか?」

「こいつらを何とかすれば生き残れるだすですか?」

「もう一度、ユートさんに会えるのですね、少佐?」

「当たり前だ!! お前らの腕があってこの程度の攻撃にやられるものかよ! 相手はおそらく俺たちの実力を危惧してメンタルから崩そうとして来たんだ。こういった未知の技術をふんだんに使用してな!!」

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