神々の旗印㉖
「どこまでやれるか分からないけど、やってみるまでだ!!」
勇斗はフェイズワーカーのアクセルを全開にすると、初手とばかりにイーアンの懐に飛び込んだ。勇斗は左腕の盾で身を隠し、ゼロ距離に入ったと同時に右腕の特殊警棒を突き立てる。だが、
「あっ……!?」
と、彼が気づいた時には遅かった。視覚のみで追っていたイーアンの機体がもうすでに彼の目の前から消え失せていたのだ。
「ふう……。やるな、ミスタートップガン。その突きのアイディアは悪くねえ。しかし、ちいとばかり間合いが甘かったな」
イーアンは言うや、機体をクルリとホバリングさせた後に、あっという間に勇斗の背後に回り込んでいた。
「お前の技術の正確性自体は認めるが、その程度の攻撃なら戦場の誰もがやっていることだ。生きるか死ぬかって時に、最後の決め手となるのは人間様に備わった嗅覚ってことよ。頭で考えるんじゃねえ。体で感じるんだ、ミスタートップガン!!」
その言葉が途切れるのと同時に、勇斗の機体の背後から激しい衝撃が伝わって来た。彼はその衝撃と共に体を前後に揺さぶられ、激しく頭をコンソールパネルに叩きつけられる。
「あうっ……!!」
その勢いで勇斗の機体は前のめりにつんのめり、二転三転してその場に留まる。
「これが本番だったら、お前の体はレーザーソードで一突きだ。いわんや即死ってところだな。凶獣ヴェロン相手なら、今頃地上の
戦場の勝負は一瞬で決まる。命の花は、ほんの数センチ数ミリ単位のわずかな差で散ってしまうのだ。それを運によるものだと言う者もいれば、実力によるものだと言う者もいる。だが、どちらに要因があるにせよ、戦場は生き残った者が勝者である。イーアン・アルジョルジュは、この模擬戦の一番でそれを言わんとしていた。
「イ、イーアン曹長……。も、もう一本……もう一本お願いします……」
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