虹色の人類126


 さらにまた坑道の奥底から、なにやら別の群れがそれらを追い駆ける様にしゃしゃり出てきた。

「な、何だ!? あれは……!?」

 そう、その群れを成す一団の姿とは、様々な人種、様々な性別、様々な別個体が寄り集まった人間の列である。にもかかわらず、皆一様に同じ表情、微塵も違わぬ動作で行進して来る。その異様さたるや、これまた背筋がゾッとせざるを得ない異質な光景である。

「何なんだありゃあ……!? 動作だけじゃねえ。全員の息遣いも目ん玉の動きさえも、みんなどっからどう見ても同じように動いていやがるぜ……」

 さらに驚くのは、その集団の後方に位置するのが、列を成す人々の三倍以上の背丈もあるフェイズウォーカーである。そして、そのフェイズウォーカーまでもが全く同じ動きをしていることだ。生身の人間であろうが、機械であろうがその寸分違わぬ同様の動きを見て、まさかこの世に自然に存在する物であると感じる者はいないだろう。

「どうなっていやがるんだ!? アイツら……。しかも、あのフェイズウォーカーは方天戟。れっきとした軍御用達の機体だぜ?」

 正太郎がまさに息を飲んだ瞬間――、

「うおあっ!!」

 その一団は、ジェリー・アトキンスと出鱈目に暴れまくる女の子に向かって、一斉に手持ちの銃火器を乱射した。

 

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