虹色の人類122
なんとおぞましい姿なのだろう!
その列を成した生き物は、まるで蜘蛛やムカデなどといったもののように手足が何本も四方八方に剥き出しになっており、その手足が奇妙な動きをしつつちょこまかと動き回るのである。
何と言ってもその生き物の不気味さ加減は、その生えそろった手足が、皆人間の物なことである。古来より人間の美しいとされる概念など度外視されたそのフォルム。手指などは人間のそれとは大きく違い、うねうねくねくねと不自然な波の動きを始終繰り返す。まるで人体の一部が、下等な生き物に成り下がってしまったようである。
そんな一種異様な生物の群れが、こちら側に勢いよく向かって来るともなれば、さすがの正太郎とて目をひん剥いて大声を上げずにはいられない。
「うわっ、キモッ!! こ、こっち来んな!!」
彼は咄嗟にそれらの群れから身をかわし、ひょいと段差によじ登る。
「な、なんだってんだよ、一体!?」
戦闘中にもかかわらず、正太郎の全身が鳥肌だらけになった。どうやら流石の彼にも、心底苦手なものがあるようである。
しかし、このように我を忘れて隙を見せているにもかかわらず、敵刺客は何も手を打って来ない。というのも、どうやら刺客自体もこれらの類いが苦手だからだ。
「み、見た目がグロすぎる……。何なんだよ、こいつらは……? まるで生きるゴミ溜めじゃねえか。まったく創造した奴の美学の欠片も感じられねえぜ……」
彼は、よじ登った段差からそれらのおぞましい群れの流れを見下ろしている。そして、眉間にしわを寄せながら、
「何とかエナの方は無事だな。……しかし、奴の殺気は、まだ微かに残っていやがる……」
と、息を詰まらせたその瞬間――!!
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