虹色の人類119
「そう、我々五次元人は、貴様ら第六世代人類に対して、奇しくも我々が遠い昔に行ったことを、同じような手法によって我々と同じ轍を踏ませてしまおうと裏の裏から工作していたのだ」
「な、なんと……!?」
「しかしな、鳴子沢大膳よ。私はそれが許せなかった。なぜなら、我々五次元人に似せて作られたこれまでの人類とて、自ずと一度は栄華を極めこそするが、必ずと言ってよい程衰退してしまい、挙げ句、このように滅亡の一途を辿って行ってしまったではないか。私はな、過去の人類たちを集めていたときにそれに気づいてしまったのだよ」
「そうか、そういうことか……。つまりは、貴様ら五次元人は、私たち人類とは違う次元に移住することによって、自然界からのあらゆる脅威から免れることが出来た。だがしかし、私たち人類らは、この不可逆的法則が支配する物理的空間の中に身を置いている時点では、それが通用しないということが言えるのだな?」
「その通りだ、鳴子沢大膳。貴様ら人類が、この不可逆的物理空間に生命を受けた時点で、その一方向に辿る自然的現象に対応する力が必要不可欠になる。つまりは、この宇宙空間自体が終わりを迎えるまで、貴様ら種族を生き永らえさせるためには、それ相応の
「ふ、ふうむ……。確かに諍いや争いは人の心を歪ませてしまうものだが。そうやって争い合ったり競い合ったりせねば、次のフェイズに移行出来ぬ宿命を背負ってしまうとは、言い得て妙な話だな」
「うむ。特に貴様ら第六世代人類は、そういった競い合うことや、激しく議論を交わしたりすることによって何かを見出すモチベーションにしている節がある。逆に、それが長期間何も無ければ、他の種族より短命なだけ、危機管理能力もすぐに衰えてしまうという欠点がある」
「つまり……、それで貴様は、過去の人類らの〝勇者〟と呼ばれる者たちを、こんな風にしてまでコレクションしているというわけか?」
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