虹色の人類㉝
エナはその殊勝な言葉とは裏腹に、軍服の上着を前かがみになって脱ぎ出して来る。そして彼女は続けざまピンク色のインナーシャツをたくし上げるのであった。
「エ、エナちゃん……、いけない、いけないよう、それ以上はいけないんだよう!!」
烈太郎は仮想実体を伝い、懸命になってそれを阻止しようとするが、いかんせんその姿が仮想実体なだけにどうにもなるものではない。
烈太郎はオロオロするばかりである。エナはそれをいいことに、ポイッとインナーシャツを脱ぎ捨てると、次はズボンのベルト外しに取り掛かった。
彼女はどうやら本気のようである。それを分かっていても、烈太郎はどうにもあたふたしてしまい対処し切れるものではない。
エナは瞬く間にズボンのファスナーを下ろし、腰の辺りからずいっとズボンのウェスト部分を引き下げてしまう。するととうとう、彼女のいかにもシンプルで可愛らしいピンク色の下着姿が露わになった。
「エ、エナちゃん……!!」
烈太郎は自分が人工知能だということも忘れ、どういうわけか仮想実体の顔を真っ赤にしながら目の部分を手のひらで覆い隠した。
しかし、そこでまったく
「これじゃあ、まだあたしが虹色の人類なのかそうでないのか確証が得られないでしょう?」
そんな無機質で機能的な言葉だけを発し、今度は両手を背中に回しブラのホックを外しに掛かる。
「なっ、なにやってんの……!!」
烈太郎は
「ああっ、エナちゃん!! それ以上はダメなんだよう!!」
烈太郎はその瞬間、つい本能的にコックピットのハッチを開けてしまった。そして彼の機体本体を強引に揺さぶり、
「そういうのはオイラの中でやって!!」
とばかりに、エナを自分の機体内に放り込んでしまったのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます