家裁に行ってきました

 父親の成年後見人をしているので、年に1度の報告書の提出に行ってきました。

 昨年、後見人申し立てをしていた時には、手続きが終わるまで父は生きてるのだろうか……と、何度も不安になりました。

 後見人になった時には、第1回の報告書提出までには葬式を出すかもしれないと、思っていました。


 何度か危篤一歩手前にはなりましたが、父はまだ頑張っています。

 死にたくないのでしょう、きっと。

 私だったら、救急搬送された日に、きっとあっさり逝ってました。生きることに執着がないので。

 搬送した時、医師に血流が4分の1しかない真っ黒なMRIの画像を見せられ、脳梗塞は進行していて、既に左半身麻痺が始まっている、脳幹に血流がいってない時間を考えても、助かったとして意識は戻らず一週間はもたない、下手をすれば明日には亡くなっていると言われました。

「歩いて救急車に乗ったんですよ」と言った私と母に、じゃあ本人の状態を確認して、カテーテルをするか検討してと言われ父の元へ行くと、本当に左半身麻痺で呂律も回らなくなっていました。

 それでも「カテーテルしようね、死にたくないよね、父さん」と私が声をかけると、頷いた父。

 死にたくはないのです。だから、今も死ねずに病床で頑張っています。


 父が頑張ってくれたおかげで、母の気持ちも安定してきました。

 あのまま父が逝っていたら、たぶん母もすぐに逝ったことでしょう。今はちゃんと看取ることを受けとめている感じがします。


 家裁で報告書を出しながら、そんな事を振り返っていた私。

 来年の報告提出の前には、葬式を出すようになるかもしれません。


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