おいで…そして、一緒にあそぼ!

アンクロボーグ

私とミム

『おいで…そして、一緒にあそぼ!』


※前作の『ボクの願い』の別視点です。つまりは、人間のむつみちゃん側から見ての話を考えて見ました。この作品ではなくまず『ボクの願い』から先に読んでみてください。ちょっとした謎解き要素を入れてみましたので。



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『おいで…そして、一緒にあそぼ!』




どこにでも有りそうな町並み。時折通りすぎる自動車、そして静かな細い路地。

ひっそりと建つ白色のマンション。

白い建物には小雨が悲しく降り続いていた。

薄暗くなりかけた空、白色のマンションの最上階から少し下の一室、灯りの消されたベランダに一人の女性の姿があった。


私は、とても幸せだったあの頃の事を思いだしていた。

ミムと一緒だった頃を。

私とミムとは、違う種類の生き物。

もちろん最初からわかっていた事。

じっと見つめてくれる、まっ黒い大きな瞳がそう教えてくれていた。

ミムは、犬、実験用の動物、そして私は、人間。


ねえ、ミム…あの日、犬のあなたが普通の犬では無いと知ったときは、驚いたよね。

私が、ミムをはじめて外へ連れだした時の事、憶えてる?…

そこは、はじめて嗅ぐニオイだらけだったでしょう。

ドキドキがいっぱいの


外 の 世界


ミムたちは知性化された犬。生まれてすぐに処置を受ける。

ミムのような犬は、研究所には、他に9匹いて、あなたが最後の10匹目。

一番年下のあなたのことを、他のみんなは、とても可愛がってくれていた。

あなたたちには、頭の後ろから首にかけて盛りあがった出っ張りが有り、自然犬とは、すぐに区別できた。

その出っ張りの中には、人間に近い思考を可能にしてくれる人工脳が植え付けてある。


生まれてから、しばらくして、あなたが自分という存在を認識出来るようになった時、知性化犬として、はじめて《見る》モノ、《感じる(嗅んじる)》モノは何だったのかしら?

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