いちひきの……

月明かりを渡りゆく蝶の群れの

一匹だけの蛾がわたしなのです

だれもそれに気づきかないのだ


腐った林檎は腐敗を広めるのか

だれもが気づかぬまま去るのか

太陽に誘われ宇宙に堕ちるのか

皆を火に誘い込み自殺するのか


月明かりを渡りゆく蝶の群れは

死者の国へと無間を飛び越えて

結局は皆死にゆく定めなのだが

わたしだけが取り残されていく

生まれ変わりもせずさ迷うのだ


    孤                                                                                 

           独                                                        

           

 な                                                                           

                                          

       蛾

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