第7話 ダメ大人の休日

 あれから気まずい雰囲気のままタブレットの説明をしたが、結局購入は見送られた。私はもう、用なしである。

 不安になる。だって彼は若い。対して私は就職した会社を一年で辞め、アルバイトをぽつぽつと始めたり辞めたりを繰り返している。

 もう二十五歳。未来ある七歳も下の男子といい仲になろうとは。

 颯斗くんに、本当の年齢を伝えて引かれたら立ち直れない。引かれるのは仕方ない。嘘をついてはいないけど、大学生くらいのお姉さんだと思っていそうだ。ババアに用はない、よね。

 考えれば考えるほど落ち込んでくる。深夜0時まで待ってもメッセージも届かないし、こちらからも送れなかった。

 今まで体のどこにもなかったはずの心細さを感じる。ずっと、寂しいという感情すら忘れていた。一人の方が気楽だと思っていたのに。

 颯斗くんと知り合ってから、知らなかったり忘れていたりする感情にたくさん出会える。

 恋って、こんなにも人間らしいんだ。

 うるさいほど声高に叫ばれる愛だの恋だのという話が、今まで以上に正義の剣を私に突き付けてくるのだろう。良いものだと知ってしまったから。

 いやだいやだ。ベッドの中でごろごろと寝返りをうち、スマホに着信がないか確認し浅い眠りをする、という繰り返しているうちに、すっかり夜はあけた。

 今日は日曜日、どこへ行っても人ごみだし家で寝てよう。もうすぐ朝十一時だけど起きる気がまったくしない。冷めた朝食が置かれている実家の状況がありがたい。

 早く起きろだの仕事しろだのは、もう諦められているのか、まだ二十五歳だから大目にみてもらえているのかわからない。

 そう考えると、まだ二十五歳は若い。でも、十八歳の人からすればとんでもなく大人だろう。

 ちゃんとしないとなぁ。私はもぞもぞと暖かいベッドから抜け出た。お昼とはいえまだまだ寒い。ベッドに戻ろうという根性を叩きなおそう。起きられた私は偉い。

 明日は行動しよう。あと十日でバレンタインと思うと、あっという間だ。

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