第14話 マイハウス

「マルタ!そっちの敵を頼む!」


「任せてください」


マルタは敵との距離をとり、魔法を詠唱する。詠唱してる間に攻撃されると、魔法が発動しないのでガイにカバーしてもらう。マルタが新しく習得したアクアブレスで敵を薙ぎはらう。魔術は剣術と比べて発動も遅いし、連続で発動するには一定時間待たなければならないというデメリットが存在するが、魔術の最大の利点は相手を怯ませれる点である。モンスターを戦闘で撃破した時、報酬が貰えるのだが、攻撃を連続ヒットさせると、ゴールドが増えたり、アイテムのドロップ率が上がったりと特別ボーナスがもらえる。魔術は基本多段ヒットであるため、連続魔法と剣術を連携させ攻撃を決めると、30連続ヒットの攻撃につながるのだ。マルタは魔法、ガイはガード、ユータは剣術連携と役割を決めてモンスター撃破をしている。ここ数日ランキングバトル開始まで狩りをしており、デッキ改良に力を入れている。


「そろそろあがりませんか?私疲れちゃいました」


マルタはドロップアイテムを整理し、ステータ画面を眺める。マルタのレベルは30となり、クラッシュモンスターズのプレイヤーの中でもトップクラスの強さになった。何せこのゲームレベルアップにかかる経験値が多く、経験値が分散されるため4人~6人でパーティを組んでいるプレイヤーは経験値が入る量が少ない。そのため3人パーティであるマルタ達のレベル上げの効率がいいのだ。


「そうだな、そろそろ解散にするか」


「そうですね。さよならガイさん、ユータさんお疲れ様です」


「おう、お疲れ」


「なら俺も抜けるな、じゃあなユータ」


「おう」


2人がゲームからログアウトすると、ユータは気分転換にアフレニア王国を散歩する。ただ散歩してるわけではない。他のプレイヤーが話している情報をこっそり入手するのも目的の一つだ。


「そろそろ家でも買おうかな…」


住宅地エリアではギルドで組んだパーティメンバーと一緒に暮らせるマイハウスを購入できる。家では料理や音楽を聴いたり、ベットで寝たり、テレビを買えば、ゲームをすることができる。テレビのニュースも見ることができ、しかもカメラで動画投稿し、ネットのYou Tubeにアップすることができるのだ。課金制度で大量なお金を使うプレイヤーの中には戦闘やデュエルをせず、マイハウスでくつろぐためにゲームをするプレイヤーもいる。動画配信ではボス戦攻略の一部始終を流すプレイヤーもいるが、この世界のRPGは難易度が高くなかなかレベルが上がらず、高難易度のボス戦を乗せた動画は少ない。


ユータはログアウトのボタンを押し、世界から意識を失う。自宅に戻り、インターネットでランキングバトルのスレや攻略サイトの情報を調べ始める。


「ネットの連中もまだトップクラスのデッキが何かは試行錯誤中ってことか…」


ネットの考察で載っていたオープン神獣デッキを使ってみたが、使い手を選ぶデッキだということは分かった。圧倒的な展開力と速攻性。しかし、カードをうまく回さないと上級神獣が無駄死にしてしまう。使い方の難しさから、世間では使いづらいと言われてきたデッキだ。


このゲームの初心者プレイヤーはRPGで手に入るおすすめカードと、ストラクチャーデッキの組み合わせで組んだデッキになるだろう。中堅はおすすめデッキ、つまりネクロ蘇生、新生ドラゴン、ロストパンドラ、ブースト錬金などを使ってくるはず。他にも新しく入った情報では、グールデビル、鉄壁魔人、格闘王パンチ、スカウトスライムなどまた新たなデッキが紹介されてる。

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