BLUE SPRING

@2Umbrella

第1話

超巨大生命体の発現。超災害、宇宙人の襲来。巨大隕石の直撃。...地球という小さな星に住む。人間はちょっとした事で滅ぶ。我々は脆く、だけどこの人生という長い時間で悔いと後悔がないよう。ただ生きる。死という恐怖に怯えないよう毎日を生き続けてることで。



ただ、これを私は彼に渡しに行きたい。

それを胸に走った。でもダメそうだな.....


自分の恋焦がれるあの人の家までは約50㌔本当なら電車で会いに行く予定であった。しかし、起きた。それは起きた。地震により線路が途絶え交通機関、ライフラインが断絶。自らの命すら危うかった。そんな時、ありえないことが起きた。自分の好きな人の街も地震が起きたのだ。私は焦った。もう会えないのでは?と、私の足は勝手に動いた。いけないのことと知りつつコンビニのご飯をバックにありったけ詰め込み走った。

走った!走った!走った!


まとめた三つ編みが揺れる。制服はとうにドロドロ。あの人に会いたい!という一途な思いが原動力。靴は破れ、マメは潰れ、痣は浅黒くなり。走る。


世界の終わりというのをよく聞いていた。がなんとなくそれを現実に見えるような気がする。どうやらほかの場所でも様々な災害や超自然的なことが起きているようだ。だが私には関係ない。私は渡す。ただそれだけである。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


流れ星が多い夜。確か遠くの国に隕石がどうと聞いた。私は瓦礫の山を、道無き道を進み続けたが疲労が体を蝕んだ。会いたかった...最後に1度だけ。会いたかった、ただそれだけだが体が、瞳がそれを許さなかった。瞼が重く、体だがコンクリートみたいに固くなる。ああ.....幻覚を見る。遠く光る光の先に見える。あの人.....



「...........おい...........か!だい.........」


また...もう...眠たい...もう...


「くそ.......たのに.....おき.....くれ.....!」


あの人の声に.....夢でもいいならもう一度...


「おい!!」



「えっ...............」


目の前にいたのは「その」人。待ちわびた人。会いたかった人。


「なんで.....」


「お前に...その、会いたかった!/////」


ゆっくりと起こされる。そして抱き抱えられる。


「お前も...その...俺になのか?」

「うん、うん、.....!よかった.......」


「はぁぁぁぁぁ.....よかった...やっと会えた...」


「私もあえて嬉しい...あっこれ...今日.....じゃないけど...ちょっと袋も...その/////ボロボロだけどバレンタイン...」


「うおおおおぉまじか!ありがとう!食っていいか?では頂きます。」「うん、美味い。甘い。ありがとうな」


その言葉だけを聞きたいだけだった。会いたかった、聞きたかった。それだけでもう胸がいっぱいになれた。


遠くの方で聞こえる。轟音。飛び散る火花、爆炎。人々の叫び声。そんなものは聞こえなかった。ただ一時に流れる時間。このあまりにも短く、儚い時間。


「髪...変...あはは」


「うるさいなぁ.....お前も三つ編みぐちゃぐちゃじゃねぇか」


「うえええ!ああもう.....ぷっははは」


「あっははははは」


短く、あっという間にすぎる時間。振り返ると走りすぎた時間が愛おしい。


「こ、こんな事聞くのもあれだが...そのあのチョコは.....その...」


「ほ、本命.....ですよ.../////」


「それって...」


「ちゃ、ちゃんと口に出して!/////」


「おおおおお、お!俺は!/////お前のことが好きだ!お前も俺のことが好きか!/////」


「だ、大好きです!!!」


言い終わる前に二人は抱き合う。夢に見た時間しゅんかん|《ルビを入力…》。


「よかった.....」

「よかった.........」


「私たち...その」

「ああ!両思いってやつだ!!」


愛おしく、儚くて、短くて、遠くて、輝いていて、泥まみれで、汚くて、美しくて、懐かしく、二度と来ない。


爆音と轟音が秒感覚で近づいてくる。

彼ら彼女らは気がついている。しかしそんなことはいいのだ。今を、この瞬間を!この時を!こと幸せを!噛み締める。一瞬ても長く、この短い時間を。


「三日前のドラマ見た?」


「見たよ!面白かった!」





「それでね、私の友達がねー」


「あははは、なんだそれ」



くうだらない、どうでもいい、無駄話

笑い合う二人、笑う声に涙目になる二人。

気がついているのだ。この場所が、この時間が壊れゆくものだと。


「そ、それでよ、俺の友達がな...」


「それで、それで...」


だか、その壊れゆく今を振り返ると輝かしかったあの瞬間が今もある。あのいつも輝いていて、日常の全てが愛おしく、何気ない日々がキラキラと美しかったあの時が。


「あー...もうダメだ.....もうネタが無いなー」


彼は言う


「私ももう喋り疲れちゃった」


彼女は彼に寄り添う。




消えゆく街には目もくれず。ただひたすらにお互いを見つめ合う。見つめ合う二人は次第に笑顔を取り戻す。







短くて、儚くて、愛おしく、遠く、輝き、汚くて、美しく、懐かしく、振り返るといつもそこには確かにあったのだ。笑顔も涙も後悔も。全て懐かしく、されど愛おしい。





「「ああ、私たち...青春を謳歌してるな!」」






消えゆく毎日と日常を。遥か過去にある、輝かしい日々を思い出のことを人は青春と呼ぶ。

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