後日談 黒木紗理奈の証言

 事件が解決したその日の夜から私は水木神社にお世話になりました。荷物はとりあえず二日分を持って……。


 凜さんも麗さんも優しくて……先輩も普段通りに接してくれてました……私はそれが……何か嫌でした……。


 美鬼ちゃんは私と話してくれません。避けられているようにも思いました。こうして、宮部家の生活が始まったのです。


 次の日の学校に行くのが怖かったのを、思い出しました。何よりも、瑠美ちゃんに会うのが……怖くて……嫌で……。


 学校に行く道を行く足取りが重たくて……重たくて……。でも、その日から瑠美ちゃんは学校に来なくなりました。私に瑠美ちゃんがどうしたのかって聞いてくるクラスメイトもいましたが、私は誰とも話したくなくて……早退しました……。



 それから……それから……あの……すみません……。


「涙を拭いてください。この鏡はその時を追体験させてしまうので、申し訳ありません。ここで一旦休憩しますか?」


 いえ……大丈夫です……美鬼ちゃんの為です……続けてください……。


「……解りました。では、また鏡を見てください」


 はい。


 ――紗理奈が鏡を見つめていると、紗理奈の額から青白い糸のようなものが鏡に吸い込まれた。やがて鏡の表面が水面のように揺れ始め、激流のように溢れ出し全てを包み込んだ――。

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