第4話 おとぎの国のソ連
毎朝頬をつねる。
それが最近できたカーロッタの癖だった。
隣を見ると、眠そうな目をしたルーシヴァアの姿がある。妹の警戒心のない姿をみてクスリを笑みを浮かべた。
本来なら犬死するはずだった姉妹を数奇な運命な元救ったのが、ソ連だった。
ソ連に来てからまずトップである
もっとも、回復魔法をかけられて身体的には完治していたのだが、精神的な疲れと緊張は拭えない。
正直助かった、と思ったのは最初だけだった。
クレムリン宮殿という生まれて初めて見る豪華な建物――カーロッタたちにはそれ以外の表現ができなかった――の中に入ると、またまた広く豪華な部屋で食事を摂った。
赤いカーペットに複雑な模様が描かれた毛足の長い絨毯。ふかふかすぎて雲の上を歩いているような気分だった。そして、煌びやかなシャンデリアが柔らかい光を照らしている。
おとぎ話に登場する魔法の国に迷い込んでしまのだろうか。カーロッタは本気でそう思った。ルーシヴィアは冷静に見聞していたが、彼女の持つ既存の魔法の知識では説明し得ない現象が随所に見られて、目を白黒させていた。
もはや名前を覚える余裕のなかった食事の間につくと、そこには白いテーブルクロスに包まれた広いテーブルが用意されており、軍服らしき姿の偉そうなオーラを纏ったソ連人たちに囲まれて食事をする羽目になってしまった。
緊張して具体的に何を話したのかはあまり覚えていない。
ただ、少女や少年、若い女性が多かったことに驚嘆したのは覚えている。カーロッタたちの常識では、社会の上位を占めるのは男であり、魔法科などを除き軍隊に女が入る余地などないからだ。
そこでは色々な話をした。彼女たちの生い立ち。生活様式。社会制度や魔法について。どんな戦い方をするのかや軍隊についてなど。
もっとも、奴隷だった二人に話せることなど大した情報ではあるまい。しかし、教養奴隷だったルーシヴィアの情報――特に魔法の話に
姉の威厳よとカーロッタも拙いながらも様々な話をした。臨場感のある話し方はカーロッタの方が上手だったので、お歴々は興味深そうに聞いたようだ。
特に、
そして、
「私も
彼女はじっと返答を待った。
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