カップラーメン

水分活性

第1話


きっかけなんて、ほんとに些細なもので、僕らの始まりは3分の会話だった。


その日僕は、お気に入りのカップラーメンをコンビニで買って、便利なコンビニはお湯を用意してくれてたりするから、その場でお湯を入れてタイマーセットして待っていた。

3分。いざ待つぞ、と構えると意外と長いと感じた。多分空腹だったから。


すとん。と隣に女性が座った。彼女も僕と同じようにカップラーメンを買ってお湯を入れて待ってる空腹仲間だった。

実は入店した時に、彼女が真剣にカップラーメンを選んでるのを見て、女性がコンビニでカップラーメン真剣に選ぶってなかなかレアな気がして、何を選ぶのか気になっていたのだ。

真剣な彼女によって選ばれたカップラーメンはさぞかし誇らしいだろう。ドヤ顔してるかもしれない。


「それにしたんだ…」


「?」

彼女がこっち見た。なんで?あ、声に出ちゃったのか!


「さっき真剣にカップラーメン選んでたので、ちょっと気になってたんです。すいません。」


焦って別に悪いことしたわけじゃないのに謝った。日本人の悪い癖だよなぁ。つい謝るの。


「ふふっ気にしてくださって、ありがとうございます。沢山あるから迷ってしまいました。」


うおっ!笑うと可愛いな!いや、普通に可愛いな。


「迷っちゃいますよねー。それ選んで正解ですよ。僕それ食べたことありますけど、当たりだなと思ったし。こっちのはお気に入りですけど。」


なんか嫌なやつみたいな返答してしまった。変に思われただろうか。


「やった!当たりなんですね!よかった〜カップラーメン好きなんですか?」

「好きですね。昼は絶対カップラーメンです。足りなくて毎回おにぎりとか足すんですけどね笑」


そこからはだんだんカップラーメンの話から昼の話になって、彼女がつい最近引越ししてきて、家に食材が何もないから久しぶりにコンビニに入ってみた、というところで3分経ってしまった。

3分にしては話が弾んで普通に友達感覚になっていた。食べてる間も会話が途切れず、このまま会う事がないのももったいないなと思っていた。


「ねえねえ!良かったら、連絡先聞いていい?こっちきて友達いないから、嫌だったら…

「嫌じゃないし、僕もまた会いたいなと思ってたから良かった。」


食い気味で言ってしまった。なんかあれだな。余裕がないな。そしていつの間にかタメ口だ。


「私しばらくはコンビニ飯になるから気が向いたら一緒に食べよ!」と、彼女が言うので、何回か一緒に食べた。もちろん僕はカップラーメン。


「そっからは、彼女…小百合が実はうちの新入社員だって事が分かって、職場でも会うようになって、あとはもう付き合うしか!ってな感じだな。」

「…くそやん。」

「クソとはなんだクソとは。馴れ初め聞かせろって言ったのお前だろ。」

「あー!!俺も美人な奥さんもらいたいー!!若くて綺麗で性格のいい奥さん欲しいー!!」

「あーでも小百合、料理苦手だぜ?俺も人の事言えないけど笑」

「なんだよ!惚気かよ!追撃すんなよ!!」

「まあ、だから、カップラーメンは未だに結構お互い美味しそうなのあると買ってきてるな。そんで同じの買ってきたら晩飯はそれになる。」

「カップルがカップラーメン食べるってカップルラーメンですか!!!はい!!面白くない!!!はい!!嫉妬の嵐!!!!


このお話おしまい!!!仕事行くぞ!!!」

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