語り手は、捕らえられている妖物を監視する、看守の仕事をしています。しかし、徐々にその立場は精神的に、逆転していきます。静かに、ひたひたと忍び寄ってくるような雰囲気。こう書くと酷く不気味に感じられるかもしれませんが、そのような感じがまるでしないのです。それがとても、恐ろしい。不安なことは不安なのに、早く来て欲しいと思ってしまいます。怪しげな空気。でもそれがとても癖になります。BLとありますが、それで読まないのは勿体ない一作でしょう。