stage 40 ポア -Kazu side-

『プラーナ通信~第六号~ 』

~日本震撼!呪殺騒動の真相~


カズ「こんにちは。いつも和やかなムードで対談を行う当コーナーですが、今回ばかりはそうも言っていられません。去年の7月、テレビの生放送中に起こった有名コメンテーターの急死騒動は皆様の記憶にも新しいのではないでしょうか?亡くなった●●氏がシャンバラ国に執拗な言論攻撃を加えていたこと、それから、偶然にも同時間帯のネットライブ放送でアーチャリーが呪殺の儀式を執り行なっていたことから噂が噂を呼び、一時は日本中が集団パニック状態となりました。そして、今も世界中の宗教学者、犯罪心理学者、オカルト研究家、国際対テロ機関までをも巻き込む白熱のディスカッションはとどまるところを知りません。前置きが長くなりました。それではさっそくヒロさんにお話を伺ってまいります」


ヒロ「先ずは亡くなった●●氏のご家族ならびに関係者の方々に心からお悔やみ申し上げます。しかしながら、冒頭から結論を述べますと、あの人物の死と教団の儀式に何ら関連性がないことは明らかです。世界トップクラスの優秀な日本警察が、教団施設への強制捜査ができずにいるのが第一の裏付けでしょう。裁判官も"呪殺の証拠を探す"などという荒唐無稽な名目では令状など発行できるはずもありません。また、ガサ入れのみならず、これまでに教団関係者が任意同行を求められた事例すら皆無なんです。一番怪しげなこの私が、あまりに日本に居ないのも当局が手をこまねいている要因かもしれませんが・・・。アッハハハハハハ。もちろん、これは冗談です。ハッハハハハハ」


カズ「・・・・・・。あの日を堺に教団をバッシングする著名人が次々と怪死する件についてはどうお考えですか?それと・・・、先程ヒロさんが述べた、"お悔やみ"の部分も引っかかるんです。ドライというか・・・、亡くなったご本人への心遣いが感じられない。良識ある人間なら、とてもじゃないがこの話題で笑いは出ないはずです」


ヒロ「良識ある人間ですか・・・。いまさら説明するまでもないと思いますが、シャンバラ国は金剛乗を奉ずる宗教団体で、私もその中に属する宗教者の一人です。世俗の人間が安楽であると称するものを、諸々の聖者は苦しみであると言う。世俗の人間が苦しみであると称するものを、諸々の聖者は安楽であると知る。解し難き真理を見よ。無知なる人々はここに迷う」


カズ「スッタニパータの一節ですか?」

※スッタニパータ= 釈迦が入滅されてから約100年くらいまでに説かれた教えを伝える最古層の経集。原始仏教。


ヒロ「はい。シャンバラ国の修行者たちは、この世とあの世の価値観は真逆であると信じて疑いません。釈迦の説いた生老病死に、愛別離苦あいべつりく- 愛する者と別離すること。怨憎会苦おんぞうえく- 怨み憎んでいる者に会うこと。求不得苦ぐふとくく- 求める物が得られないこと。五蘊盛苦ごうんじょうく- 人間の肉体と精神が思うがままにならないこと。以上の4つを併せた四苦八苦はご存知ですね?タントラヴァジラヤーナは、それらの本質をしっかりと見極め、悲しみ、憎しみ、怒り、欲望のエネルギーをも悟りの原動力に変えるパワフルな教えです。一が滅する時、一が生ず。教団にとってプラスに働く、"自然発生的な"が起きたとしてもおかしくはないでしょう」

※ポア=魂の移転。


カズ「う〜ん。では、その四苦八苦から一つだけピックアップします。人間の最も根本的な苦である死について、シャンバラ国はどうお考えですか?」


ヒロ「いい質問ですねぇ。アッハハハハ。死は終わりではなく一つの過程だと解釈できます。ここでバルトトゥドゥル(チベット死者の書)の一節も紹介させてください」


     ※     ※


高貴なる生れの者よ。あなたには死が訪れました。

この世を去るのはあなた一人ではありません。

だれしもが死ぬのです。

ですから、この世に望みや執着を持ってはなりません。

望みや執着があっても、この世にとどまることはできないのです。


     ※     ※


ヒロ「チベット仏教では、死にゆく瞬間を"解脱への最大のチャンス"と捉えてきました。これが、チベット人たちが死を恐れない理由であり、シャンバラ国が呪殺ですら忌み嫌わない根拠です」


カズ「分かりました・・・。これ以上、門外漢の私があれこれと稚拙な意見を投げかけるのはやめましょう。かえって混乱を招きかねないので。あとは賢明なる読者の皆様に判断をゆだねます。本日はありがとうございました」


ヒロ「ありがとうございました(合掌)」

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