stage 34 セクシャル・ヨーガ -Kazu side-
『プラーナ通信~第四号~ 』
~初公開!性瑜伽の知られざる実態~
カズ「本日はシャンバラ国の報道の中で特にクローズアップされる"性瑜伽"について教えてください。率直にお聞きします。性瑜伽、つまりSEXをともなうヨガとはいったいどのようなものでしょう?」
ヒロ「性瑜伽とは秘密集会タントラの灌頂を授かった後に、ある一定のステージまで進んだ信者だけに許される修法です。チベット密教の最大宗派であるゲルグ派は、このセクションを観想(イメージ)で行うのが通例ですが、原点回帰と実践主義がスローガンのシャンバラ国では本物の性瑜伽を積極的にカリキュラムにとりいれています」
カズ「あくまで修法・・、なんですね?ワイドショーや週刊誌ではSEX教団などと揶揄されていますが・・・」
ヒロ「それではカズさん。たまには私から質問させてください」
カズ「はい。どうぞ」
ヒロ「SEXには3つの目的があります。答えられますか?」
カズ「う〜ん。抽象的ですねえ。2つなら何となく心当たりがありますが・・・」
ヒロ「いいでしょう。カズさんが思い浮かべた2つとは、快楽を得るためのSEX。ここには愛を確かめ合うという精神的快楽も含めます。もう一つは子を成すためのSEXですね?」
カズ「おおむね正解です」
ヒロ「それでは、最も重要な3つ目の目的とは?これが空性大楽へ向かうSEXです」
※空性大楽=空性の智慧と深い楽の経験が分かちがたく結びついた状態。不変の楽。
カズ「空性大楽・・・」
ヒロ「はい。SEXがもたらす悦びは"空性大楽へのジャンプ台"に使われるにすぎません。この奥義は後期密教の一番デリケートな部分なので本来は他言無用ですが・・・。今回は大サービスで修行の導入部分をご紹介しましょう」
カズ「よろしくお願いします」
ヒロ「まず初めに、性瑜伽の実践には一つの前提があります。それは、人間の身体には物質的身体と霊眼によってのみ捉えられる霊的な身体が存在するという考え方です」
カズ「いわゆるチャクラと呼ばれるものでしょうか?」
ヒロ「おっしゃる通りです。とりわけ重要なものが物質身体の会陰部から頭頂へと達する目に見えない脈管と、その途中に位置する接続点、つまりチャクラです」
カズ「この辺りまでは、なんとかついていけそうです」
ヒロ「では続けましょう。その前提を踏まえ、修行者はパートナーと性瑜伽を行じます。男女が抱き合うと自ずと快楽が芽生え、時の経過とともに密度は高まってまいります。すると、脈管の中を流れる生命エネルギーは会陰部に近づくほど快楽を増し、頭頂部に近づくほど霊性を生じるようになるんです。しかし、修行者同士の性瑜伽は射精が固く禁じられているため、心身の制御は並大抵のものではありません」
カズ「なるほど。おぼろげながら俗世間のSEXと性瑜伽の違いが見えてきました」
ヒロ「それは良かった。ただし、もう一歩踏み込んだ話をさせていただくと・・・。後期密教に多く伝わる灌頂において、ラマがパートナーの膣内に射精したあと、その菩提心と経血の混合物を弟子の口中に投じる儀式があるのも事実です」
※菩提心=精液
カズ「・・・・・。いよいよタントラ密教の知られざる部分に近付いてまいりました」
ヒロ「これでもオブラートに包んでお伝えしているつもりです。真の秘密儀礼はこんなものではありません」
カズ「そうですか・・・。怖いもの見たさといったら失礼ですが。その先、つまり性瑜伽の向こうには、いったい何が待っているのでしょう?」
ヒロ「性瑜伽が成就すれば、修行者は快楽を超えた快楽とともに究極の叡智を獲得し、輪廻からの解脱に至るでしょう。また、この時パートナーをつとめた女性も同時に解脱を遂げるとされています」
カズ「シャンバラ国の教義では女性が女性のまま解脱できると?諸説ありますが万人成仏を説く法華経でさえ、
ヒロ「よくご存知ですね。我々は
カズ「今日はヒロさんからの逆インタビューモードですね?アッハハハ。ならば私が読者に代わって受けて立ちましょう」
ヒロ「またまた抽象的な質問で恐縮ですが・・・。無上瑜伽タントラの最奥部、性瑜伽の内容をお聞きになってどう思われますか?」
カズ「う~ん・・・。正直に申し上げると・・・、やはり常軌を逸している。ごめんなさい。悪気はありませんが、これが嘘偽りない一般人の感想です」
ヒロ「ありがとうございます。つまり、それがラマから弟子へとマンツーマンで密教作法が伝えられてきた所以です。また、念の為に付け加えておきますがシャンバラ国はゲルグ派のやり方を否定しているわけではありません。性的パートナーのビジョンを完璧な姿で脳内に投影するには、ずば抜けたセンスと膨大な量のトレーニングが必要なんです」
カズ「良くわかりました。性瑜伽の実践は"誰もが悟れる"と
ヒロ「ありがとうございました(合掌)」
※ ※
(注1)
『五障』=五種の障害。仏教(一部の宗派)では女性には生まれながらに五つの
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