第42話くろぎつね

くろぎつねが、火に、つつまれる。黄金の火に。


このまま、消えてしまいたい


くろぎつねは、炎のなかで、つぶやく


少女たちは、ガラスの炎をさけて、ガラス製の、おもちゃみたいな、汽車にかえる。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


汽車のそとは、燃え盛る、黄金の炎。光の、すじになって、すぎさっていく。

・・・・


乗客が、あらわれる。


くろい、きつね。さっきのかは、わからない。

九尾のきつねが、いっしょに、のりこむ。

なにか、はなしている。

くろぎつねは、なきながら、うつむいて、九尾のはなしを、きいている。

かれらは、ここで、舞台からおりる。物語から、でていく。・・・・


くらい、まどのそと。火災は、過ぎ去った。

ほたるが、舞う。まどのそとの、草原。草の、香り。


ほたるが、客車に、迷い込む。


どんどん、はいってくる。蛍光色の、ひかり。ひかりで、いっぱい。


少女は、まどのそとを、みている。


そとには、また、くらがりが、ひろがっている。窓枠に、きりとられた、暗闇。

マーク・ロスコ風の、暗黒。


暗黒の、なかに、なにか、いる。かたちを、もたない、いや、かたちを、とれない、卑小な、魔物たち。

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