第7話城の秘密

扉のむこう、また扉、それをくぐると、鏡のある部屋にでた。バレエのレッスン場のよう。

しかし、鏡にはなにもうつらない。魔の鏡。

鏡の奥から、悪魔があらわれる。いや、魔王が。

ちがった、化け物が。

そいつが、言うことには

人生は夢、夢は人生、虚無は、法悦、音楽は、快楽、人は、善、快楽は、善、

少女は、呪文をとなえる。すこしばかり東洋風のを。効き目は抜群。

西洋のやりくちじゃ、かなわない、たちうちできない、こういう種類には。そういうものなのだ。血が、彼女を、突き動かす。

永遠のように響く、呪文。

化け物の、化けの皮が、はがれる。おそろしい。

腐った肉塊。それが正体。

蛆虫の大群。蛹。羽化。変態。生命の神秘。メンデルの法則。

蝿の大群。偽物の。蝿の姿をした、悪しきたましい。

少女は、臆せず、繭をとりだす。

繭は、白く光る。指輪が、共鳴する。

繭は、魔法の一族の家宝で、想像をぜっする、大昔の偉大な魔術師が、魔力と祈りをこめて、つくったのだ。

お守り。実際、最悪のとき、ちからをはっきする。普段からたすけてはくれない。そういうものなのだ。強いちから。

蝿のかたまりが、うなる

法悦に身をまかせよ、快楽に、美に、美食に、人肉に、ともに、食卓を囲もう

そのとき、ガルガンチュアの怒鳴り声がした。なんという声。

悪しき見解、悪しき行い、悪しき報い、悪しき声、手を出すな

ガルガンチュアは、さらにいう

悪しき見解からは、悪しき認識、歪んだこころからは、歪んだ声、手を出すな

少女はなみだをながす。小人が、なにかとりだす。

宝石、緑のではなく、赤い。もうひとつ、暗闇で、ひろっていたのだ。死神に、ひきずりまわされながら。

赤い宝石から、音楽がながれる。

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