雪に埋もれる

夜水 凪(なぎさ)

第1話

確か、あれは三年前の事だったと思う。


私は降り積もる雪を見つめぼんやりと思い出していた。



私の住む町に稀にみる大雪が降った。

その日は学校も休み、電車も動かない、道も通れない。何も出来ずにただ部屋の窓から降り続く雪を見つめていた。

どれくらい見ていたのか、時間の感覚なんて白い雪だけ見ていると麻痺してしまい、全くもって分からなくなるぐらい見ていた。


大分時間が経った、と思う。そろそろ昼食をとろうと腰を上げかけた時に、コンコンと窓を叩く音がした。

氷の粒でも当たったのだろうかと見てみると、そこには真っ白な顔をした女の子が立って窓を叩いていた。


…こんなに寒いのに女の子が一人でどうしたんだろう?


よく見るとその少女は私と同い年ぐらいのようだ。真っ白な肌、フードに包まれている色素の薄い綺麗な髪、血色の良い唇。そして何より見上げてくる夜色の澄んだ美しい目。まるでお人形の様だと見とれてしまった。


「青いガラス玉、持ってない?」


窓は閉まっているのに女の子の声が聞こえた気がした。気のせいかと思ったが、


「青いガラス玉、持ってない?」


今度は口が動いているのもみえた。が、窓はきっちり閉まっているから聞こえるはずがない。

ただ、声は頭に直接語りかけられているみたいだった。


青いガラス玉?と聞き返そうとして窓を開けると、その子は部屋の中に立っていた。

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