傍観者になれない人生

@kounosu01111

第1話

私の意見


 はじめに断っておくが、この一文は、世を慨嘆するために書かれた文ではない。

私には思想と呼ぶべき概念形態もないし、ましてや、思想に殉じるなどの如き行動も取れない。

今世紀は、室町時代のようで、天変地異があり、悪しき殺人も多い。昨年の初夏には自立支援を望んでいる身体障害者の施設で十九人を殺した四十二歳のバカ男も居、中東では荒れた戦争が三〇年も続いている。

こんな、異常な世紀である。

 男一匹、俺は男だ。男なら立ち上がれ。こんな言葉を私は実に沢山聞いてきている。

貧しい男が、俺は男だ!と叫んでみたところの貧しさを表現している言葉にしか思えない。

男が、俺は男だ、と言ってもその男が鋼鉄にひとしきり魔羅を具備しているのなら、なにも事を立てて、俺は男だ!と叫ぶ必要は無いわけである。

したがって私がここで男性的人生論などのごときつまらない一文を草するのは、更におかしなことだが、これは編集部の案である。

それだけ現代社会から男性が少なくなった証だろうか。この一文は、一応連作の形をとるが、数回で終わりになるかも知れない。

 そして多分、つまらない感想文になるだろうから、俺は男だ!と自己を信じきっている男は読まれるのをここでおやめになられた方がよい。

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