第10話 キモイは好き
「今日からみんなと一緒に過ごすことになる転校生、コイケ ミナさんです」
「うわー、めっちゃ可愛い。 俺、股間がムズムズしてきた」
「ちょっと、やめてよぉ、男子~。 トオルマジキモイ」
「お前、股間がムズムズしたことないの?」
「だからやめてって、キモイから」
「俺、お前といるといつもムズムズするぞ」
「!? キモイキモイキモイキモイ」
◇
「あのさ、トオル」
「どうしたアイ?」
「転校生のミナちゃんと、私どっちが、その、ムズムズするの?」
「ん? なにが?」
「だーかーらー。 どっちが……。 その、股間ムズムズ……」
「うーんとね、アイの方がムズムズするかな?」
「ほんとぉ!?」
「アイは、俺といるとムズムズするか?」
「なに女の子に聞いてるの!? キモイキモイキモイ」
「あ、今、ムズムズした」
「キーモーイー」
◇
「ようアイ。 今帰りか?」
「うん、吹奏楽部の部長って結構ハードなのよね。 トオルはどお?」
「うーん、後輩たちはいい奴ばっかだし、勝手にまとまってくれてるし、サッカー楽しいし、部長じゃないときとかわらないかな?」
「そっか……」
「じゃあ、俺、あっちだから」
「あの、トオル……。 私、あなたの事考えると胸がドキドキして、もう、どうしようもなくて」
「キーモーイー」
「……」
「うそうそ、昔のお返し」
「もう」
「そういえば、最近、言わなくなったな。 俺、お前に言って貰う為に色々頑張ってたんだぞ。 キモイっていうのがお前の愛情表現だと思ってたんだけどな」
「そういうことじゃないわよ……。 なにいってるの、キモイ」
素直に好きと言えない女の子。
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