第168話「集結!! 促販玩霊十傑集! 」


 集合の合図が高らかに響く。

 何かが集まろうとしているのか、周囲に数多くの霊体の反応をエピファネエースが感じ取っていた。

 

 「いくら集まろうがこのゼウスの巨像の威厳は崩れん! 」

 「貴様らが付けた傷など等に完治したわ! 」

 

 ゼウスのボディは何事もなかったかのように元の装甲を取り戻している。

 カンチョウのハイファントムフォートレスの効果を、フォッカーのハイファントムオーバードライブで押し上げた結果である。

 

「なんやねんあの装甲! 身内のスキルで出来てるんが悔しいわ! 」

 

 だがここから。

 

 エピファネエースの予想を覆す程の一撃が、この先……幾度となく繰り出される驚異の波がやってくるのだ!

 

 そう彼等は来る!

 

 「我ら! 子供達の曇りなき眼に映る、英雄譚の残滓! 」

 

 突如として響く霊体の声!

 

 エピファネエースのボディであるゼウスの側面から飛び込む回転する飛翔体。

 刺々しいボディの車を模した、クラッシュっぽいギアの即販トイが!

 強烈な回転を起こし、ゼウスボディの右足に突き刺さり回転により装甲をエグる!

 

 「 !! 」

 

 バランスが崩れるエピファネエースのゼウスボディ。

 思わず巨体が(とはいえプラモを中心とした一メートル弱のサイズしかないけど)膝を付き崩れる。

 

 すると足元には何やらトラップカード的なモノが敷かれており、カードを踏み込むとそれは起動した。

 ……何処からか霊体の声が響く。

 

 「時(ブーム)の流れを超え! 我等は敵を討つため罠を敷く! 」

 「トラップカード! 縛鎖の罠! 貴様はこのターン! 身動きを取れない! 」

 

 突如現れたカードゲームヒーローフィギュア、デッキを収納する大きさのバイクトイに跨がり現れると……

 スピーカーの様なパーツが迫り出して"特殊な霊声"を増幅して放つ!

 するとゼウスボディに蓄積された霊力がその影響で一部霧散を起こし、ボディの霊力濃度が安定するまで動きを封じる事が出来たのである。

 

 「おのれ! たかがオモチャの分際で!! 」

 

 エピファネエースは激昂する!

 今にも霊力濃度を回復せんと急速に霊体が霊力を放出する。

 だがそこを待つほど"奴ら"は甘くはない。

 

 「否! 我等は玩具(おもちゃ)にあって玩具(おもちゃ)に非(あら)ず! 」

 

 そのまた別の霊声が聞こえたかと思えば、拳を構えた超合金ロボがエピファネエースに対峙して現れ……

 

 ロケットパンチを発射する!

 

 その威力たるは、霊力による増幅で強化が激しく行われており……

 ショットガンから放たれる「スラグ弾」のように暴力的な破壊力で、ゼウスのボディを打ち砕きながら大きく仰け反らせる!

 そののけ反った先に待つのは……

 

 パンチを連打して競い戦うボーグ的な電動トイ。

 

 「はっ……! 」

 

 エピファネエースは気付くのも時遅し、ノーガードの顔面に無数のラッシュが叩き込まれる!

 

 「その確たる信念は一騎当千のツワモノなり! 」

 「ウラウラウラウラウラウラウラウラアアアアアア!! 」

 

 これはたまらんとゼウスのボディを起こして逃れるエピファネエース。

 起こした巨体が垣間見た視線の先には、先程ねぱたと共に居たユウコが戦隊ヒーローロボのボディで剣を構えて立っていた。

 

 「そして世界のピンチとあれば! 曇りなきの眼(まなこ)に映る姿で剣を抜く! 」

 「ファイナルソードフラッシュ!!」」

 

 ユウコの戦隊ロボはゴテゴテしい最終合体状態、そのインパクトのまま今、持っている剣を投げ放つ!

  投げ付ける剣とは言え、霊糸で繋がっており、十分に威力を誇る威力を持っていた。

 その勢いたるは、ザジのハイファントムオーヴァードエッジにも近い破壊力を示し、ゼウスのボディを大きく砕き、内部を露出させた。

 そしてそのユウコの背後には、ねぱたと違った特撮ヒーローの姿が!

 

 「そう……今こそ我等は集結するのだ!! 」

 「そして最後の作戦を行う為に!! 」

 

 その特撮ヒーローのボディを持つ亡霊は現れると、ねぱたが驚いて居る。

 

 「ってアレ、ウチと特撮成分ちょい被っとるやん! しかもあの人は確か……五月人形先生の弟子の一人でウチの兄弟子にあたるヒーローオタクのタナカさんやん!! 」

 

 その姿たるは完全なるヒーローのトレースを体現しており、ねぱたが某バッタ怪人系のボディなら、彼は銀色のボディで宇宙から来た警察機構のエージェントである。

 

 「攻撃してこないのか? 内部が露見しているのだぞ? 」

 

 エピファネエースは弱点だぞ? と言わんばかりの様子を見せるが、集まりつつある戦士達は何故か攻撃を行わない。

 そこに遅れてやって来て攻撃し損ねた、カブトムシに似せた車型のトイを駆る亡霊が語る。

 

 「その必要はない! 悪党を叩くのは何時だって正面突破! 」

 「今こそ! 高らかに我等の存在を語る時だ! 」

 

 明らかにわざと機を逃してやったみたいなことを言って誤魔化す。

 

 「ここに叫ぼう!! 我等こそが……」

 

 そして声と共に最後の戦士が舞い降りる!

 大きな羽根が目立つ王道の"主人公ロボットプラモデル"!

 そして白を強調した最終決戦カラー!

 その主役ロボットプラモの亡霊が遂に……その集結者達の名前を語る!

 

 「「 促 販 玩 霊(そくはんがんれい) !! 」」

 

 「「 十 傑 集 (じゅっけつしゅう)!! 」」

 

 掛け声と共に一斉に横一列に並ぶ彼ら十傑集が、揃って叫ぶ!

 

 「十傑集! ファイナルオペレーション! 」

 

 「「 セイヴ・ザ・ワールド!! 」」

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る