第12話「もうヒロインはこれでいいんじゃ無いかな? 」
視界は変わってキャンパーの外回り。
先程の戦闘を終えたザジとレーシングドローンが、別の大型ドローンに吊り下げられて帰ってきた。
「やはり無茶だったようだね…ザジ君」
カンチョウがフォッカーに依頼したお出迎えの時点で、ザジが持っていったレーシングドローンは航続距離をオーバーしていた。
途中でレストルーム内でボディを脱いだフォッカーが、改めて大型ドローンにとり憑いて迎えに行って拾って貰うと言う有り様である。
「すいません、カンチョウ」
ザジは素直に謝罪をした。
「いや、無事生還したのなら問題はないよ、ただ君がちょっと過信し過ぎるのは我々としても困る」
するとフォッカーが間に入って来た。
「まあ今回は足止めで活躍したんだし良いじゃないですか、敵の情報も聞きたい訳だしね」
その言葉でカンチョウも許したのかおとがめ無しで済ませようと考えている様だが。
「映像データーを送信していた分、バッテリーの消費を見誤るのは危険な事だ」
カンチョウが凄味を出して判決を言い渡す!
「ザジ君にはしばらく、その壊れているボディの変わりに!」
ケースに入った新規のボディが工作室から運ばれてくる。
「美少女可動プラモデルに入って喪に服してもらう!ドーン(効果音)」
その言葉にザジ嘆く。
「やーめーろーよー!あんなフリフリなプラモデル、狂気の沙汰じゃないか!」
実現すればこの小説に真のヒロインが爆誕するかもしれない。
そんな余裕がある位、キャンパーの工作室の倉庫は割りとボディを多く確保しているようだ。
「それは置いといて戦闘の映像データは皆で拝見するよ、フォッカー君も適当な体を貰って後でレストルームに来たまえ」
するとフォッカーは再びフライトをし始める。
「お留守番してたラマーとパルドは声かけとかないと駄目だろ」
「おおそうだったな、二人にも来るように言っておいてくれ」
カンチョウの返答で、まだ二人の仲間が存在する様である。
ザジがエレベーターで工作室に降りる、ドクが何やら困った様子を見せている。
「ドク?どうしたの」
「いや…そのレストルームの居間がなんか騒がしいなって…」
ドクがそわそわしているようだ。
「ガールズトークでもしてるんじゃないかアイツら」
ザジが皮肉に語るが亡霊になっても男女の柵に囚われると言うのも、また彼等のいわゆる″らしさ″と言うべきだろう。
落ち着かないドクはボディ修繕の依頼を思いだして損傷のチェックに入る。
「ダメージ大きいな、盾が修復に時間がかかるな、あとボディにカッターで切った後みたいな傷があちこちにあるぞ」
ユナに迫った紙札の攻撃を庇ったダメージである、以外と切れ味のあったようで細かい傷が付いていた様だ。
「後は右腕回りだな、焼けて間接が溶けて動かなくなっているだろう?」
式神に剣を突き立てた時にわざわざ腕を肩から回して刺しているのは腕が曲がらなかったのである。
「思ったより弾丸の反動がキツくって油断しちまったよ、わりぃ」
ザジ的には攻略に手こずる相手では無かったと思われるが、ボディの損傷は激闘を物語る。
「他のボディの修繕依頼もあってこのボディの修繕には時間がかかる、素材を補強加工にはプランを練って挑まないといけない。」
ザジのプラモデルのボディは扱い良くするための加工が必要である。
単純に間接軸に真鍮線やらを埋め込んだり、補強加工による軸受け強化等。
間接の保持力を無くして置かなければ衝撃にも耐えられない。
「騎士型の大きめのボディはまだ加工の後でテストがいる、それまでは…」
透明の箱が運ばれてきて…
「ぜひともこのガールズプラモに入って頂きたい。」
ザジは、…ドクお前もか!と言った所だが代えのボディが無いと言うことは、レストルームから出れないと言う事なので仕方なく使う事にした。
そうまで新たなるヒロインを爆誕したいのかは置いといて、行く先のレストルームではねぱた女史の叫び声が聞こえていた。
「ちょっとー、みんな集合!これちょっと大変やー!」
ねぱたがレストルームの扉を開けて霊体のまま集合を促する。
「ねぱたさん、そんな大げさな!」
ユナはねぱたの様子にビックリしながら言う。
「これは一大事や、ユナちゃんみんなに説明せなあかん、それに…」
ねぱたはユナの霊体の様子を見て言う。
「それにユナちゃん、服を着たイメージしんと何時までも真っ裸やで」
ユナははっと自分の霊体の様子に気が付く。
「ーーーッ!なんで裸なのおお!」
ユナはは早急に服を思い出そうと奮闘する、でなければ男がみんな降りてくるのである。
「制服!そうだこうなる前は制服だったんだ、早く制服出てこい!」
ユナの姿はゆっくり制服姿になった。
(ふう…私はまだ生きてるから姿が安定しないのかなあ?)
ようやく姿が安定したユナを確認するとねぱたはレストルームの和室を片付け始めた。
「みんな座れる様にするわ」
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