星に願いを 空に想いを
カゲトモ
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「はぁ、やっぱりマスターのお酒は格別ですね」
「ありがとうございます」
「何て言うの、センスが良いって言うか。お酒とおつまみのバランスもいいし、空気も好きだし、もうなんか全部好き」
「ふふふ、どうしたんですか、今日はやけに褒めてくれますね」
「え~、そんなことないわよ。私はいつだって素直に思ったことを口にするわよ?」
「ふふ、そうでしたね、エミコさんは」
にっと笑った笑顔が爽やかで、きっと学生時代はスポーツをしていたんだろうなと勝手に想像する。多分、バレーとかテニスとか、そんな感じの。
「それじゃぁ、もう一杯」
「まだ飲まれるんですか?」
「まだまだ飲めるわよぉ?」
そんなこと言って、強い酒ばかり飲んでいるじゃないか。しかも店に来た時もシラフじゃなかったって言うのに。
「私の作るカクテルが絶品なのは知っていますが、今日はもうこのくらいにしてはいかがですか」
「え~自分で言っちゃう?」
「もちろんですとも。私も素直に思ったことを口にするタイプですから」
「えぇ~絶対嘘」
絶対嘘ってなんでだよ。俺の何を知っていると言うんだ。
「ですから、今日はもうおやめになった方が」
「ん~マスターなのにそんなこと言うのね」
「マスターだからこそです。私はエミコさんが心配なんですよ?」
「心配?」
「ちゃんとお家へ帰れるのかとか、お身体のこととか」
目だって潤んでいるし、身体が左右に揺れているし、呂律もなんか怪しいし。何度も来てくれているけど、エミコさんがここまで飲むのも酔うのも初めてだ。ちゃんと家に帰れるくらいでやめさせないと。
「優しいのね」
「今更ですか?」
「ふふふ、分かったぁ。じゃぁあと一杯だけ飲ませてよ。ねっ」
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