黒星の断罪者
タロ少佐
第1話
階層都市シリウス、12階層からなるこの都市にはカースト制度がある。
上から4階層までが貴族層、5~8階層が市民層、9~12階層が下民層と分かれている。この都市には上流貴族の戯れとして年に2度ほど別の階層都市から戦士を集めてコロシアムが行われる。武器や魔法なんでもござれのデスマッチ。勝者には栄誉と土地、貴族層への入層許可が下りる。
正直、栄誉だとか土地だとかそんなものはどうでもよかった。貴族層への入層許可、それさえあればどうでもいい。あいつらをこの手にかけられれば俺に失うものなどなにもなかった。
ただの人間に負けるほど弱いつもりもなかった。準決勝までは力も使わずに来れたしな。準決勝も剣を折るのに使ったきりだ。手の内はほとんど隠してこれた。この調子で決勝も余裕だと思ったんだが・・・。
まさか決勝の相手が明星の騎士団の3番隊副隊長とはな・・・。なんでこんなところにいるんだ・・・もっとやることあんだろ!
だとしても負けるわけにはいけない。これを逃せば次は半年後あるかも分からん。それでも力は使わざるを得んだろうな・・・。
そんなことを考えていると後ろから声をかけられた。
「やあ君!次の対戦相手だよね!」
噂をすればなんとやらと云うがそこにいたのは3番隊副隊長ビル=アルタイルだった。この男、ここまで戦い一度も動かずに勝利してきた、不動の男である。戦闘スタイルは騎士らしい銀剣と銀盾。ガードして斬る。それだけで勝ってきた。
「先に忠告しておくよ、怪我をしたくなかったら決勝は辞退した方がいい。」
「あ?」
「今回僕は本気で戦うつもりだ。準決前ならこんなことは思わなかったがあれを見たとき、君はただの格闘家ではないと分かったからね。君は異質だ、それもかなり。辞退さえすれば今回ばかりは見逃してあげよう。」
ばれていたか、まあいい。今やこの場では些細なことだ。知られている以上隠す必要がなくなったってことだからな。
「わりいが俺も目的があってここにいるからな。今更引くわけにもいかねぇんだよ、それにここで見逃したとしてもここを出た後に追い回されんだろ?なら早いか遅いかの違いしかない。それなら前者だろ、なぁに、速えことはいいことだ。」
「本気で僕に勝つ気?死ぬよ?」
「おいおい、辞退を促し過ぎるなよ、そんなに俺が怖いのか?どっしり構えてろよ聖騎士団副団長さん」
ビル=アルタイルをその場に残し俺は控室に向かった。後ろから歯ぎしりが聞こえてきそうだった。少し煽りすぎたか・・・?
「いい度胸だ・・・死ぬほど後悔させてやる。」
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