第45話
薄暗い中に浮かび上がる一つになりかけている二人のシルエットを瞬きをせず見つめる。
鼓動は激しくなるが頭の中は意外に冷静だった。冷静なまま、今まで店の中で出会った知りうる限りの女性客と女性スタッフを思い返してみたが、彼と特別親しげにしていた女は記憶の中ではいなかった。
私が知らない客だろうか、それとも知人か。私が頭をフル回転させている最中、目の前の二人のシルエットが完全に一つになった。黒くて丸い塊はその形のまま動くことなく道路の片隅で私に見つめられながら何かを確かめ合うかのように存在していた。
全て一瞬のことだったと思う。しかし時の流れから逸れてしまった私には異様に長く長く感じられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます