第115話 いざ出発! (1)

『な、何~? これわぁあああ~?』と。


 儂は自身の目に映る物を見て、驚嘆を吐き放ちたいのだが。


 傍から見ているみなも知っての通りで、我が家の長女の御姫さまは、メス蜘蛛やカマキリのように恐ろしいから。


 父親の儂は、娘が恐ろしくて絶叫を吐くことすらできないので。儂はさくらに対して小さな弱々しい声色で声をかけたのだ。


 まあ、こんな感じでね。


「お、おい~! さくら~! 本当にこのメンバーで新しい領地を広げにいくのかぁ~?」と。


 儂は、我が家の御姫さまに訊ねてみたのだ。


 すると我が家の御姫さまは、動揺をしている儂とは違い。


「……ん? お父様~。そうですが~。何か可笑しいですか~?」


 と、訊ねてきたので。


「可笑しいに決まっているだろう? さくら~?」と。


 儂は我が家の御姫さまに言葉を返すと、また直ぐにさくらへと言葉を返す……。


 というよりも? 儂はさくらへと不満を告げる。


「あのなぁ~。敵国や領主──集落の長などから強引──荒々しく領地を奪い。自国の傘下に入れるのだぞ~。これくらいの少数で、どうやって敵の大軍とわたりあい戦をするのだ~。さくらぁあああ~? ちゃんとお父さんに説明をしてみろぉおおお~?」と。


 儂は自身の我を忘れるほど驚愕しながらさくらへと訊ねた。


 先程さくらに冥界送りにされたことをついついと忘れながら。


「はぁあああ~! 今何と言いましたかぁあああ~? あなたぁあああ~? もしかして? このわらわにあなたは~。意見をするつもりですかぁあああ~?」と。


 さくらの奴は、儂の我を忘れた怒号を聞き──。自身の声色を低く、重々しくしたのだよ。


 それこそ? 先程儂が冥界送りにされた時と同じような声色……。


 父親の上に、この国の王である儂に対して、また不快感を募らせた様子──。


 まるで? 女魔王のような紅の瞳で、儂を睨みつけてくるのだ。


 またさくらの持つ魔法スキル、バンパイヤレイジを喰らわして、自身の力の糧にするぞ! とでも言いたい様子で儂を睨みつけてくる。


 となれば? 儂はまるで? 蛇に睨まれた蛙状態……。


「す、すいません。さくらさま……」


 とだけ。儂はさくらに謝罪を告げ俯き始めたのだ。


 儂の愛娘が恐ろしくて仕方がないから……。

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