第89話 奥さま達との初デート? (28)

「お母さま~。いい加減な台詞を大きな声で言ってはいけません~。今のお母さまの台詞を他人が聞けば、妙な勘違いをするではないですか~」


 儂がセリカを諫めようとしたら。息子のケインの方が先に、自身の母でもあるセリカを諫めたのだよ。


 今のセリカの漏らした不満を他人が聞けば、大きな勘違いをするからやめるようにと。


 でッ、その後ケインはまた自身の口を開いて。


「お父さまは先程も言ってくれたではないですか~。これからは僕達家族と一緒にくらしてくれると……。だから一度ぐらいお父さまに甘えられないからといって。そんな他人が聞けば勘違いをするような台詞を言ったらダメですよ。お母さま~」と。


 本当に甘えん坊のエルフ娘であるセリカが産んだのか? と、思えるほどのしっかりとした息子だから、親である儂も正直驚いたのだよ。


 だってケインの年齢は、傍からどう見ても、幼稚園の年長組みか? 小学校の低学年くらいの年齢だと思われるから、父親の儂も正直驚愕をしたのだよ。


 余りにも幼い息子が、儂の想像よりもしっかりとしているから。


「お父様~。驚いたでしょう~?」


 儂が自身の幼い息子の大人ぶりに驚愕──。開いた口が塞がらないといった様子に陥っていたら。


 少女の声色で儂を『お父様~』と呼ぶ声に。儂自身は我に返り、声の主へと視線を変えた。


 するとそこには、儂とすみれの間にできた娘であるサクラの容姿が。


 だから儂は娘のサクラに、「ああ~。ケインが余りにも立派だから、父さんは正直驚いたよ……」と、言葉を返した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る