第22話 昭和終わり世代の、貧乏人で坊ちゃん育ちの上、趣味多彩だった儂…… (18)
まあ、いつまでも、気落ちした状態でいる儂にはいかないから。
すると家の息子が、「オヤジこれを読んでみたら? 」と、薦められた物がある。
「……ん? 何だ? それは?」
儂は直ぐに、家の息子に訊ねてみたのだよ。だってその物自体は、マンガ本等ではなくて、活字ばかりが記載してある書物なのだよ。それを家の息子は薦めてくる。儂が、活字が苦手だと知っている癖に……。
まあ、我が家は確かに、朝刊は取ってはいるが。儂が毎朝送られてくる朝刊に目を通す箇所は、番組欄と折り込みして入っている各量販店さんの広告のみでね。新聞の中に記載されている前日の記事などは、面倒だから目を通さないし、読まないのだよ。
だって前日の出来事は、テレビのニュースかパソコン若しくは、スマートから流れてくるウェーブを確認すれば大抵の出来事はわかるので、わざわざ、新聞の記事の欄を凝視して読む必要はないと、儂は幼少期から思っている。
と、言うことだから。儂はまず、活字の多いい小説などは読まない。
儂の遠いい記憶を手繰り寄せ思い出しても。自分自身が活字の多いい書物を読んだ記憶は、鑑別所の読書の日に目を通したぐらいだったと思う。
と、言った事実を知っている家の息子が何故儂に、小説を読めと薦めるのか、全く持って理解ができない。
だから儂は、息子に対して、『可笑しな事を言う、やつだ』と真剣に思った。
う~ん、でも、儂は、ふと気になり、息子が手渡してきた小説の表紙を見て確認をした。すると直ぐに、儂自身の心が躍り弾んだよ。だって、萌萌キュ~ンとハートマークに直ぐになり。儂自身の心が揺れたのだよ。何故家の息子が、活字ばかりの、この本を儂に薦めてきたのかもわかった気がした。
だってこの本の表紙には、萌萌の可愛いお姉ちゃんの絵が書き込んでいる小説でね、ライトノベルというやつだった。
だから家の息子は、オジサンでオタクでもある儂に薦めたのだと思う。
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