第17話 昭和終わり世代の、貧乏人で坊ちゃん育ちの上、趣味多彩だった儂…… (13)

 と言うことだから、儂はさんざん家族を連れ出し、天然のオオクワガタ採集に行き、捕まえるのだと勇んで出かけ。我が家のマイカーの燃料代や高速料金を使用したのに幼虫二匹と散々目に遭いったにも関わらず。また浪費……。凝りもせずに今度は近所のホームセンターに行って、オオクワガタのオスとメスのペアがセットになっている物を購入して、今度は我が家で繁殖を始めた。


 でッ、儂自身、オオクワガタの繁殖なのだが。これがかなり究極に凝って、オタク道へとまっしぐら。最初の頃は国産オオクワガタだけを繁殖していたのだが。ふと、儂自身も気がつくと、いつのまにか、外国産のオオクワガタやヒラタクワガタまで購入──。そしてまた繁殖の繰り返し……。


 それこそ、光輝く綺麗なニジイロクワガタ虫や外国産のノコギリクワガタなどの仲間も増えていたのだよ。


 そして最後に儂が購入、飼育を始めたのが。これも子供の頃からの夢だったよ。男ならこれも一度は皆も夢見て憧れたことがある物だと思うのだが。儂が最後に購入して飼育したのが、だった。


 まあ、とにかく、一センチ弱の小さい幼虫の頃から育てたのだよ。特に大型のカブトムシやコガネムシの仲間は、成虫になるのに二年近くも掛かるのだよ。皆は知らないとは思うのだが。儂はとにかく、根気よく育てたよ。殺さないようにね。一度だけ噛みつかれもしたが……。


 う~ん、丁寧に愛情をかけて育てたのだが……。


 でも、四匹購入をして、一匹だけ死んでしまったのだよ。まあ、その時は、涙が出るほど悲しかったけれど。儂は挫けずに頑張って育てた。ヘラクレス・リッキーをね。だから成虫になった時は本当に嬉しかったなぁ……。


 声を大にして、「やったぁあああっ! 成虫になったぁあああっ!」と、子供のようにはしゃぎ、歓喜の声まであげたよ。近所の人達が驚くくらいにね。


 でも、そんな儂もヘラクレス・リッキーの飼育が終わると、取り敢えずは、クワガタとカブトムシの趣味の方は終焉を迎えた。

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