④どうして休暇をくれないんですか!
私は<神の世界>に住む天使です。私は今、忙しいです。十億年前から始まった私の世界を救う勇者を救う仕事は、多忙を極めています。
仕事があるのは大変結構なのですが────
「<世界神>様、どうして休暇を頂けないのですか?」
若干、怒りを見せながら<世界神>様に抗議しているのが私です。私は今、<世界神>様に休暇申請をしているのです!どうして休暇をくれないのですか!
「そうは言っても<神の世界>において、有給休暇が取るにはお前はまだ数兆年足りておらん。」
そう言うのは<世界神>様です。そうなのです。<神の世界>は、とてもブラックな企業なのです。有給休暇は十兆年働かないと貰えません。
「でも、私は亜神なのですが。」
「それはそうだが、それにしても休暇という言葉を知ったんだ?」
言葉を濁されました……。そう言えば、いつだったでしょうか?私が休暇という言葉を知ったのは……。
あっ!思い出しました!
あれは私が働き始めて一億二千七百五十六万九千五百二十七年十一ヶ月二十七日八時間五十六分三十二秒九十八コンマでした!!!
数字に表すと……127569527年11ヶ月27日8時間56分32秒98コンマですっ!!
「127569527年11ヶ月27日8時間56分32秒98コンマです。」
「違うぞ?お前が働き始めて、127569527年11ヶ月28日8時間56分32秒99コンマの事だ。コンマは今の間に過ぎた時間だから仕方が無いが、1日も間違えたのか?計算も出来ないのか?」
「あぅ……。」
まさか計算間違いをするとは……。私とした事が!<世界神>様の前だから緊張しただけなんですよっ!!
ですが、神の1日は、<地球>という世界での1年と同じなんですよ!因みに<地球>という星は私のお気に入りなんです!
そして、私が始めて『休暇』なる言葉を知ったのは────
◇◆◇◆◇
「今日もお仕事頑張るぞっ!おーっ!」
一人で寂しく私は腕を振り上げています。ですが、私には救う必要のある世界達があります!寂しがる暇などありませんっ!!
おっと!ドアノブが光りだしました!!さぁーて、行くとしましょう!!
私が行った世界は<平和世界アミレダートル>。このネーミングセンスは私には理解が出来ませんが、兎に角こんな世界です!勇者はどこかなー?
私が訪れたのは<王都エートルスーヴァ>という都市です。この世界はとても前に行った<魔境世界>よりも文明が発達しています。
あれ?でもという事はそろそろ神様から……この世界も残念ですね。天罰が下りそうです……。
急いで勇者さんを見つけましょう!!どこかな~♪勇者さん~♪いましたぁ!!!王宮にいますよ!優雅ですね~良いですね~王宮暮らし!
ん?勇者さんの部屋に何人かいる?それも女の人ばかり……。なんであんなに女の人がいるのでしょうか?
はっ!!分かりましたよ!!あれが『はーれむ』というやつですね!<地球>の『らいとのべる』という書籍で読みましたよ!!世界を救いながら、書籍を読むのが今、私の中で流行っているんです!今日も持ってきましたよ!
私は部屋の様子を窺った。すると────
「うわぁぁあん!!!!まおーとーばつしたくないよぉぉぉぉお!!」
泣いていました。えっ?どうしてあんな子供が勇者なの!?ちょっと<世界神>様っ!!
「大丈夫?良い子、良い子。」
一人の女の人に頭を摩られています。何なんですか!あの子供!どこが勇者なんですか!!全く勇ましくないですよ!!
私は激しく怒ってしまいました!!そのまま、勇者に……
『勇者よ!何を恐れているのです!今すぐ魔王討伐に行きなさい!』
ついつい叱ってしまいました……ショボーン。後で<世界神>様に怒られてしまいます……。
「うわあぁぁああん!ママぁぁあ!」
さらに泣き出してしまいました。というよりまず私の言葉が伝わっているのでしょうか。
「ド○えもおぉぉぉん!!うわぁぁあん!」
な、何故っ!国民的アニメのキャラクターを知っているのですっ!!あの<地球>の人気キャラクターを!!まさか<地球>からの転生者ですかっ!?
私は俄然、力が湧いてきました!勇者がダメなら、協会です!!
「元気 ──ピー!── 倍、アン ──ピー!── ン!!!」
あっ!私のお気に入りのあのキャラが!「見せられないよ!」になってしまいました!!
私、怒りましたよ!教会へ瞬間移動した私は教会を勢いよく覗き込みました。……頭をぶつけてしまいました。音はしませんでしたが、痛いです……。
「勇者はあの様子だと……」
一人の巫女が話しています。
「はい……ダメなようです。いずれはこの都市も……。」
別の巫女が言いました。……どうしましょう。
「神よ!お助け下さい!」
はっ!無理だったら神に祈れってか!!便利屋じゃないんですよ!!まぁ、神託を与えますが。
『……神に祈る者よ。』
「……か、神様。」
祈った巫女は泣き崩れました。どうにも遣りにくいですね……。
『勇者の事は見ましたが……状態は良くないようですね。』
「はい……そうなのです。」
あれ?ケロッと泣き止んでる……?
『では私の力で勇者に力を与えましょう。』
「ありがとうございます!」
巫女達は感謝してくれました。……少し怒りが収まりました。感謝は良いですね。気持ちの良いものです。
私は女神様ボイスを止めて、再び王宮へ。勇者は泣き止んでいました。これなら、大丈夫かも!
『勇者に付き添う者達よ。』
私は緊急策として勇者の周囲の者達に声を掛けました。勿論、女神様ボイスです。
「め、女神様っ!」
一人が大声を上げました。喜んでくれているのでしょうか……?何やらほっとした顔をしていますが。
『勇者に力を与えましょう。』
それだけ言った私は勇者に力を与えました。そして、神様パワーで勇者を一時、青年にしました。
「この方は……勇者様ですか?」
「はい、僕は勇者です。女神様、ありがとうございます!」
『いえ、感謝には及びません。その力で魔王を倒し、世界を救いなさい。』
「はい、分かりました!」
私は勇者を元気づけました。これで一件落着。後は魔王との戦いを見物させて貰いましょう。『らいとのべる』も読みたいですし。
数ヶ月後、魔王城に着いた勇者は、魔王と戦いました。それはそれは勇ましい姿でした。子供の時の勇者とは大違い。今なら『ド○えもん』よりも『ワン○ース』の方が好きそうですね。
魔王を討伐した勇者は、<王都>へ帰還しました。そして、盛大な祭りで祝われた、勇者は自分の世界……<地球>へ帰りました。
私はその後に興味があったので見学がてら<地球>を訪問しました。
勇者の住んでいるのは『にっぽん』という国でした。勇者のこちらでの姿は……
「だりぃぃ。やっと異世界での冒険は終わったか。これで休めるぜ!」
オジサンでした。それも『にーと』の。私知っていますよ!『にーと』と言うのは『
『にっぽん』では、15〜34歳までで通学・家事を行っていない者であることも!
休むって素敵ですね!!私も<世界神>様に頼んでみましょう!!
そうして、私は意気揚々と<神の世界>に帰ったのです。
◇◆◇◆◇
「────と、いう訳です。」
「亜神にはさらに仕事を増やす必要がありそうだ。頑張って励めよ?」
あっ、<世界神>様の額に皺がよっています!!どうしたのでしょう?それにしても仕事は嫌です!!!
「そこはどうにか頂けませんか?一時間だけでも良いので。」
「……はぁ、良いだろう。一時間だけならな。」
やったぁ!<世界神>様、優しい!!
こうして私は<地球>旅行をすることに決めたのです。
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