その24 のことしひ

 検索結果……ゆるキャラ


 大阪府枚方ひらかた市のゆるキャラ、ひこぼしくんがヒットしました。もちろんおりひめちゃんもいるそうです。

 ひと昔前はゆるキャラなんて言葉を聞きすらしませんでしたが、今ではそこかしこに溢れていますね。

 ちなみにこの『ゆるキャラ』という言葉、エッセイストのみうらじゅんさんと扶桑社さんが商標登録をされているのでお気をつけください(ゆるキャラ®というような表示がされていることがあるのはこれが由来)。


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 A案 中の人はゆるくない

 俺はデパートの屋上で人気のゆるキャラの着ぐるみを着るバイトを見つけた。夏休みに大学の友人たちと旅行に行く計画で、ちょいとまとまった金が要るのだ。給料そこそこで1週間の短期というピッタリの条件に、俺はすぐさま飛びついた。

 子供とじゃれあってたら金もらえるなんて楽だよなあぐらいに考えていたのだが、いざやるとなかなかキツい! 重い、暑い、痛い!

 炎天下の中で重たいサウナスーツ着て歩き回ってるようなもんだし、男の子たちの元気なパンチが着ぐるみ越しでもドスドス当たる。

 そのうえ迷子は出るわ、ショーのお姉さんには嫌われるわ、おばさま方のクレームはひどいわ……。くっそー、やってやるぜ! 乗り切って楽しい旅行に行くんだ!


 B案 ゆるきゃら考えんべ!

 よくある廃れた村。若者は出ていき、家と畑と老人しかないそんな場所。

 村一番の若人である健二(52)は、このままでは村が消えてしまうと焦燥感に駆られていた。そこで若い衆(平均年齢55歳)を集め、復興のためのゆるキャラを考える。

「でもなあ、ウチの村の名産なんてジイさんバアさんしかねえべ?」

「畑で何か作っとろうが」

「みんな腰やっちまって荒れ放題よ。あんなもんよそ様に見せらんねえ」

 出だしから難航まっしぐらだが、全ては生まれ育った村のため。全力を尽くす!

「あっ、山にようさんイノシシおるで!」

「イノシシなんかどこでもおるよお。渋谷にも新宿にも」

「かあー! 東京さやっぱり怖え所なんやな」

 ……全力を尽くす!


 C案 イケメン着ぐるみ

 整形技術の発達により『イケメン着ぐるみ』なるものが開発された。

 イケぐるみと呼ばれるそれは、文字通り着ればイケメンになれるという夢のような着ぐるみだ。女性版の美女ぐるみもある。

 強力な締め上げ効果により贅肉は隠され、厚底で身長も自由自在。体にメスを入れずに何度も好みの顔を作れるとあって、少々高価ながらも大人気を博した。

 面白いことに異性の利用者も多く、性同一性障害などのジェンダー問題へも大きく影響を与えている。

 ただし光あれば影ありで、犯罪や詐欺などに使われることもあった。例のない犯罪の数々に、警察側も四苦八苦といった感じのようだ。

 これはそんなイケぐるみ問題について取材した記録である。



 以上、三本です。

 私はゆるキャラですとバリィさんが好きですね。点のような目をしたキャラがツボなんです。

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