夕立

正保院 左京

前章 

 私は大変な罪を犯してしまいました。

 ですから、こうして今、私の犯して参りました罪状を此処に書き記し、懺悔しようと思うのです。それで私の罪が無くなると云うことはありませんが、如何しても書かなければと思うのです。

 私の罪を知る者は誰ひとり居りません。ですが、それが私にとっての苦痛なのです。別に私は他人に自分の罪を打ち明けることに快楽を覚えたわけではありません。私はこうでもしなければ、自分の気が如何にかなってしまいそうなのです。

 犯罪者には付き物かも知れません。ですが、私の苦痛は尽きないのです。それは、自己満足かも知れません。いえ。自己満足でしょう。

 ですが、私は誰が何と云おうが、此処に私の罪状を書き記す手を止めることは無いでしょう。全てを書き記すまでは。

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