ある偉人がゲームに登場した

「このSRPG、めちゃくちゃおもしろいんだよ」


 ある日、友人は興奮気味にあるゲームを見せてきた。

 裏面を見ると、なにやら各国の歴史的な偉人が、現代日本に召喚されバトルを繰り広げるゲームらしい。

 ありふれた設定だが、キャラクターが好みだったので少し興味が出た。


「面白いなら少しやってみようかな」


 俺がそう言うと、友人は嬉しそうに俺の肩を叩き、「じゃぁ貸してやるよ」といって教室を後にした。



 

 家に帰った俺は、早速例のゲームを起動する。

 歴史的な偉人達が画面の中に蘇る…… そう考えるだけで、俺の胸は高鳴った。

 非情な魔王『織田信長』や、白衣の天使『ナイチンゲール』など、数々の偉人に会える……!


 俺の分身である主人公に名前をつけ、さぁ物語の開始だ。

 テキストを読み進めるうちに、俺の頭に嫌な予感が生まれる。

 物語の内容が納得いかないのだ。

 俺は偉人達そのものを愛している。つまり、彼らの背景や偉業に手を加え過ぎるのが嫌なのだ。

 ナイチンゲールがヒーラーなのは良い。信長が武士なのも構わない。しかし――

 

 簡単なチュートリアルの後、最初の戦闘が始まる。


 stage1

 勝利条件……哀しみの戦士『ガンジー』の撃破


 俺はそっと電源ボタンを押した。 

 

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